男子高校生な亥清くん。【アイナナ】

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「なぁ、おーちゃん。いすみんと喧嘩した？」

「え、してないよ？」



逆になんでその思考に至るのか。
確かに化学室から出てテキスト運んでる時はなんか若干不機嫌だったような気もするんだけど。

聞く暇もなく、亥清くんは仕事行っちゃったし。



「いすみんにお菓子いるか聞いたけど無視された」

「それ、ただ単にお腹空いてなかっただけじゃなくて？」



そんなことを言って2人で和泉くんを見る。
すると彼は重いため息をつきながら仕方なく、と言った顔で口を開いた。



「高確率で億川さんが原因でしょうね」

「あれ、やっぱり」

「んだよ、おーちゃん知ってたんじゃんか！」



私の言葉を聞いて不貞腐れた四葉くんを見てちょっとだけ笑って、頬杖をつく。
目を細めて不機嫌そうな亥清くんを頭に思い浮かべる。

あぁ、なんでこんなに簡単に浮かぶんだろって思ったけど答えは簡単。
亥清くんてば、私の前ではよく不機嫌だから。
……それと同じくらい、いやたまに上機嫌にもなるけど。



「ん〜……」

「…………とにかく、明日のお昼までには何とかしてくださいね」

「？？
何か、あったっけ」

「オレといおりん、明日仕事で早退するからいすみんとおーちゃん、ふたりっきりじゃねぇの？」



あら、そっか。
四葉くんに諭されるなんてちょっと心外である。

なんとなく、だけど。亥清くんが怒っている理由は分かるのだ。
売上に貢献もそうだけど、ただ単にŹOOĻの曲が好きで聞いてるのに。だって私にとって初めて"アイドル"を見せてくれたんだもん。



「がんばろー」



ヘラりと笑って言うと四葉くんはなんの事か分かってなさそうだけど親指を立てて子どもみたいに笑って、和泉くんはさっきよりも軽いため息をついた。

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