41.がんばらない ページ4
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5分経つ前に戻ると皆、普通にいつも通りに練習しててマネさん達もいつも通りに接してくれた。
正直、ちょっとだけ助かった。
変に気を使われる方がしんどいし。
「白鷺、髪似合ってる」
「…白布クン、急にどーしたの」
「合宿始まってからずっと言い忘れてた。
俺はそっちの方が好き」
いつもと違う髪。
ストレートだったのが若干、ふわふわし始めたそれさえも家族だって象徴みたいだから嫌だったのに。
私が忌々しい髪の毛を掴む前に白布が優しく手に取って珍しく、優しく微笑んだ。
「…………そっかあ」
「……白鷺、今日は早く寝ろよ」
「夜行性に言う言葉じゃない」
ちょっとだけ笑って適当に返事をする。
それと同時に視界の端に写ったのは猫背のプリン頭。
小走りでそこまで行ってから、小さく口を開いた。
「どしたの」
「…別に、後で良かったのに」
「見つめられたら気になる主義〜」
「そういうところ、クロに似てる」
「え、やだ」
そう言うと遠くで黒尾サンの声が聞こえたような聞こえなかったような。
2人で体育館の壁にもたれかかって座って、研磨はゲーム機を手に取る。
「司くん、実家に戻って来てたんだね」
「……うん」
「小学生の頃は泣いてたのに言えるようになったのは…、Aにとって成長?」
「多分、そう」
研磨が言う司は兄さんのこと。一応、一応は知り合いだから。
ちょっと言われただけで泣くことしか出来なくて言い返せも出来なかったのに。
今は睨まれても近付かれても得に何も思わなくて、逆にその行為を仕返し出来るくらいには成長したと思う。
「つまんない兄妹喧嘩を何年もしてバカだなって思うし、でも悪気は無いんだけど一応…ゴメン」
「別に俺は話聞いてるだけだから。
……Aにとって多分、良いアドバイス」
「あどばいす」
繰り返して言う。
今更アドバイスとかそんなの必要ないハズだから。もうずっと憎まれ口しか叩き合ってないよ、逆におかしくなる。
「司くんはAが思ってるよりAのこと、嫌いじゃないよ」
「……アレが?」
私に向ける目は冷たい。
別にどーでもいいけど、もう気にしてない。慣れただけ。
「2人で内緒話?年長者の俺も入れて」
「……クロ、邪魔。タイミング悪い」
「左に同じく」
「2人して酷いな!」
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黒猫。(プロフ) - 白鷺ちゃんのキャラめっちゃ好きです!お話もとても面白かったです!更新頑張ってください!応援してます! (2022年2月11日 19時) (レス) @page13 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
元薺(サイ)だった者(プロフ) - 初めまして!繰り返し読ませてもらってます!!あの、気の所為だった申し訳ないんですが白鷺兄妹の過去というか因縁ってあんスタの朔間兄弟をイメージされましたか?とても好きな設定で何回もこの小説読んじゃいます!これからも無理せず頑張って下さい! (2021年10月24日 21時) (レス) @page11 id: 5a1541447c (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 1話1話の内容が読み応え(濃くて)があって、読んでいると時間を忘れる作品でした!更新頑張ってください(ケラッ、、、一気読みしちゃった笑 (2021年9月1日 21時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろい | 作成日時:2020年6月29日 21時