みじかいゆめ。【地縛少年花子くん】 (ページ7)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:20,987 hit

チューってレモンの味するんだってページ7

．

「ねぇねぇ、カタカナ！
チューってレモンの味するんだって！」

「……そっか」

旧放送室。
今日は桜さんもいなくて夏彦もいない。つまりはつかさと2人きりである。

遊び相手が居なくて暇なのか机の上にあるお菓子を食べたり椅子の背もたれの上に立ったり、後ろから抱きついてきたりと何となく忙しない。

「暇なの？」

「ヒマ！カタカナ、遊ぼ？」

「遊ばない」

髪を緩く結んでお茶の準備を始める。桜さんみたいに上手には淹れれないけど練習するには丁度いいよね。

するとグイッと不意に後ろから引っ張られた。カラリ、とお茶っ葉の入った缶が落ちる。

「ちょっ、つかさ、」

「遊ぼ？」

「…………首、痛いんですケド」

ふよふよ上に浮いてるつかさに顎を持たれて強制的に上を向かされてるせいか痛い。

何か、いいこと思いついたみたいな顔をしてどんどん距離を縮めてくるつかさ。
桜さんは猫を飼ってるって思えばいいとか言ってたけどこんな大きな猫やだ！

「んー、レモンの味じゃないネー」

は、いま、なに、……。

放心状態の私を見てクスリと笑い、至って愉快そうな顔をして前に回って私の膝の上に跨ったつかさ。

「っ、だから、距離が近い！」

「別にイイじゃん、カタカナはオレのこと、キライ？」

あざとい顔をして見つめてくるつかさ。
思わず黙り込むとまたちゅっと、唇を合わせてきた。

「……黒杖代に私の見張りを行わせる人はあんまり好きじゃないかな」

「ありゃ、気づかれちゃったァ」

「ストーカーみたいなことしないでよ、生徒会長様の視線が痛いんだから」

そう、見事に同じクラスなのだ。
これはもうクラス分けをした人を恨むしかないんだけど。私が目に入る度に鬼みたいな顔をするのはやめて欲しい。

「だってカタカナ、逃げ出しそーだから」

「不可抗力で知ったけど今更逃げ出さないよ、」

つかさは満足気に笑って私の頬に手を添えた。

「逃げる……とか考えないでネ？
オレはカタカナのこと、ぜーったい逃がしてあげないっ」

ぞくりと身の毛がよだつ。
気休め程度に帽子を取って頭を撫でてみるとスリスリと頬を擦り合わせてくる大きな猫、基はつかさ。

「カタカナー、チューは？」

「…さっきしたでしょ」

「レモンの味か確かめるから、もーいっかい！」

「確かめてなかったの！？」

抵抗する前に両手首を掴まれて、また唇が重なった。

「……もういっかい」

「やめなさい」