光くん。 ページ12
『手繰り寄せた赤い糸』
生まれつき、赤い糸が見えた。
何度恋をしたって元からその人と結ばれないことは分かってた。だから恋をするのはやめた、きっと無駄だったから。
赤い糸を見たくなくて眼鏡を掛けた。これで、見えないはず。
「大丈夫か！？」
足を滑らせて階段から落ちる。
痛くないと思って目を開けるとそこには光くんがいて。
ついでに眼鏡も取れてしまって、光くんに繋がっている赤い糸が見えた。
「……え」
紛れもなく、私の小指と繋がっていた。
疑問が頭の中を埋めつくして、無意識に小指に繋がっている糸を手繰り寄せた。
「うわっ！？な、なんだ！？」
どうやら相手にも影響するらしい。
その証拠に光くんは小指を凝視していたから。
……そのうち、ね。
私が赤い糸見えるなんてそれでこそ笑い話にしかならなくてきっと馬鹿にされちゃう。
「…ごめんね、ありがとう光くん」
「お、おう。…あのさ、変なこと言ってもいいか？」
真面目な顔をして光くんがそう言った。
視線を右往左往させて意を決したのか気合いの入った顔をしてまた口を開いた。
「赤い糸って、その、…信じるか？」
そんな訳がなかった。
光くんの口から赤い糸の話が出るなんて、夢幻を見てるみたいだった。
「わ、悪ぃ！急に変な話して、」
「信じるよ」
「え？」
「その赤い糸が幻だとしても、信じてたいの」
手繰り寄せたい、光くんごと。手繰り寄せてしまいたい。
「…ありがと、光くん」
どういう謝礼だったのか分からない。でも、今はありがとうなんて軽はずみな言葉を言いたくなったのかもしれない。
「俺には！赤い糸が見える！」
「……へ？」
「未神さんの小指とオレの小指にある赤い糸が見えるってことだよ！
…なぁ、オレ、期待しちまうけどいいの？」
そうやって言う光くんの顔は赤い糸みたいに真っ赤で、それがどこか可愛くてクスリと笑ってしまった。
「…赤い糸はね、結ぶことができるの」
お母さんが言ってた。
結べば一生解けないって。でもその糸は2人を優しく縛って決して切れないように守ってくれる。
…御伽噺みたいな、嘘だって思ってた。
「んじゃあ、結んじまおうぜ！」
「え、は、話聞いてた？」
「おう！結べば一生解けないんだろ？オレは別にそれでもいい」
光くんはニッと笑って小指で赤い糸を手繰り寄せた。そのせいか私の身体は光くんの方へ傾く。
「やっと、見つけた」
オレだけの赤い糸。
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ろい(プロフ) - さくらさん» ありがたい言葉です！すっごく嬉しいです、これからも更新頑張ります！！ (2020年3月10日 23時) (
レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 長々と書いてしまいそうなのでまとめて、文章が凄い好きです！更新頑張ってください！ (2020年2月29日 23時) (レス) id: f3613561c3 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - みわさん» 司くんを書くといつもこうなっちゃいます……、、完全に私好みです、すいません (2020年2月17日 1時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 月ヶ瀬@猫さん» コメントありがとうございます！頑張りますー！ (2020年2月17日 1時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
みわ - 司くんえちえちですね、、すきです (2020年2月16日 22時) (レス) id: 5664b5d869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろい
| 作成日時：2020年2月15日 20時
