あまねくん。 ページ14
『オネーサン』
「俺のこと、拾ってくれない？」
雨がよく降る日、梅雨時に身の丈に合わないダンボールに膝を抱えて座り込んだその男の子は浅い夕焼け色の目を私と合わせて少しだけ微笑んでそう言った。
「オネーサン、ありがとー。
俺、あそこで野垂れ死になるかと思った」
「……イイエ」
この子…明らかに未成年だよね？
私、つい家に入れちゃったけど大丈夫なの？世間体的にはアウトゾーンだと思うんだけど。
「……ダイジョウブ？」
「っわ、！」
近くなった少年との顔の距離。
端正な顔が近くまで来ていたことに気付かずにそのまま後ろに倒れそうになる。
背中に手が触れたと思えば顔の横にさらりと当たる髪の毛。少年の端正な顔が目いっぱいに写った。
「あはっ、ちゅーしちゃった」
「！？！？
…………え、は、な、なんで？」
「そーんなびっくりしなくてもイイじゃん。
俺とのちゅー、嫌だった？」
自分の唇に人差し指を持って行ってトントン、と周囲を少し叩いて少しだけ口をとんがらせる少年。
嫌とか嫌じゃないとかそういう次元の話ではない。問題はその、『ソレ』をしたということであって。
「固まっちゃってカワイー。もっかいしちゃう？」
「え、遠慮シマス！」
ちょんちょん、と指先で唇を触られて拒否反応が出るように反射的に後ろに下がった。
「オネーサン、」
「……なんですか」
「ヤダなぁ、もう何もしないよ。ほんと。
だから、俺からそんな離れないで？俺、サミシー」
にっこり。
安心するお手本のような笑顔で私の方へ手を差し出した少年。
恐る恐る、その手のひらに人差し指1本を乗せた。
「かわい、…じゃなくて。
なんで1本？まあ別にいいけどサ〜。俺的にはせめてもう2本くらい乗せて欲しかったんだけどなァ」
「じゃあもう乗せない」
「ウソウソ！1本乗ってるだけで嬉しい！」
今さっきまでしょうがない、みたいな大人っぽい顔つきだったのに今は乗せて乗せてって言ってる子どもみたいな顔つき。
表情がコロコロ変わるその少年は周りにはいないタイプでどう接したらいいかよく分からない。
…それに、異様にパーソナルスペース近いし。
「オネーサン、寝る場所どこ？」
「え、あー…ベッド1個しかないから、少年はあっちね。私はソファで」
「えっ、オネーサンはベッドじゃないの？」
「うん」
「俺はオネーサンと一緒じゃなきゃ寝られない！」
なんだこの駄々っ子は。
……地味に可愛いのが憎めないところだよねえ。
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ろい(プロフ) - さくらさん» ありがたい言葉です！すっごく嬉しいです、これからも更新頑張ります！！ (2020年3月10日 23時) (
レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 長々と書いてしまいそうなのでまとめて、文章が凄い好きです！更新頑張ってください！ (2020年2月29日 23時) (レス) id: f3613561c3 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - みわさん» 司くんを書くといつもこうなっちゃいます……、、完全に私好みです、すいません (2020年2月17日 1時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 月ヶ瀬@猫さん» コメントありがとうございます！頑張りますー！ (2020年2月17日 1時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
みわ - 司くんえちえちですね、、すきです (2020年2月16日 22時) (レス) id: 5664b5d869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろい
| 作成日時：2020年2月15日 20時
