7回目 ページ7
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「はぁ……」
移動教室中、昨日のことを思い出してため息をつく。
なんだか最近はため息ついてばっかりだなあ、幸せが逃げちゃうみたいでだめだめ。
「ねェ、」
「ッ!」
…??
何か、違う?
後ろから聞こえた声に振り向くとそこには花子さん(?)がいた。
「何してるの?」
「い、移動中、だけど…」
「…………ふぅん、そっか」
やっぱり、何か違う。
決定的なものはないけど……いや、花子さんって書生服なんて着てたっけ?
「だれ、?」
「ン?オレは花子さんダヨー?」
いつもみたいに飄々としてるのは変わらないけどやっぱりどこか幼い。
頬に貼ってある封、と書かれた御札も左右逆。それに加えていつもの学ランじゃなくて書生服。
顔も瓜二つだけど、どこか違う気がする。
「っ、!!」
持っていた教科書を握りしめて一心不乱に走る。
いつの間にか時間が経っていたのか人通りが少ない、花子さんそっくりのあの子がもしも怪異だったら他の人達に危害を加える必要だって有り得る。
廊下を左に曲がって旧校舎へと急いだ。
「つーかまーえたっ」
耳元で語尾にハートマークがつく勢いの声が聞こえた。
一瞬だけ足を止めたのが間違いだった。
完ぺきに追いつかれて近くの壁にそのまま押し付けられた。
「っ、…………」
花子さんの白杖代、ではなく色違いの黒い人魂の様なものが足と胴体辺りにしゅるしゅると巻きついてきた。
頬に手を添られ、目の前にあるその歪んだ笑顔が怖くてひゅっ、なんて情けない音が口から漏れた。
「あはっ、オレのこと怖いのー?」
その問いにすら答えられなくてなんとか首を縦に振る。
「……そっかァ、かぁわいいねぇ」
至近距離で保たれていたその顔の距離を更に近づけて赤い舌をちろり、と覗かせた。
「なんで泣いてるの?ねぇ、泣かないで。
…イジめたくなっちゃう」
そう言って目の前で笑った子の口には八重歯がチラついていて。
それを凝視していると不意に影が近くなった。
「ン〜、ちょっと塩っぽいカナ?でもオイシイ」
どうやら涙を舐められたらしい。
そんなことも分からないくらい混乱していて目の前の子の行動に反応を示すことも出来ない。
「キミは普って知ってるー?」
「あ、まね、?」
そんな人、知り合いにも誰にも居ない…。
知らないと言おうとするとある時のように口を塞がれた。
「ウソ、ついたらオシオキね」
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作者名:ろい | 作成日時:2020年1月21日 0時