14回目 ページ14
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「声、出しちゃダメだよ」
人差し指だけをピンッと突き立てて私の唇にちょん、と当ててそう言ったつかさくん。
何をされるのか分からなくて身構えているとご機嫌な顔で鼻歌を歌いながら私の手を引っ張って、まるで品定めでもするかのようにジィッと見つめるつかさくん。
「ココは普がナニかした？」
「何もしてない、と思うけど…」
「そっかー、じゃあココにきーめたっ！」
まるで私の指を食べるように大きな口を開いてその口に手を持っていく、つかさくん。
いつしかの尖った八重歯が見えて血の気が引いた。
「っ、？」
生暖かい口の中で動くその舌は予測不可能な動き方で脳の処理が追いつかない。
舌が指先までいくのが分かったと同時に爪と指の間に無理やり舌を入れられるような感覚が神経を通って全身に届く。
「
「わ、かんないっ、」
その言葉に一瞬だけ表情を曇らせた姿を見てまずいかも、と直感した。
「んッ、」
「…キモチイイんだー、もぉっとしてあげる！」
舌先が指と指の間を舐め回すように機敏な動きをしてみせる。
微かに声が漏れて咄嗟に口を塞ごうとすると左手でその手を掴まれる。
させてあげない、とでもいうようにそっちの手の指と指の間をカリッ、と爪でなぞられる。
「つ、かさくっ、」
「ン？」
一度手から口を離したつかさくんの口端には唾液が糸を引いていてそれが私の手まで繋がっていた。
目を細めて笑ったつかさくんはどこか一点を凝視しているようで。
「…唇、まだ治ってないんダネー。
でもオレ、カタカナとちゅーしたい」
「んぅっ、」
予告もない口付けに驚きつつ、つかさくんの唇と私の唇が重なったのを感じた。
私が口を閉じていることに気づいたのか無理やりにでもこじ開けようとツンツンとつかさくんが舌で存在を主張する。
その度に唾液がまだ治ってない唇の傷に触れて痛い。
ここで口を開けたらどうなるの？
全く先のことが予想つかなくてどこか怖くて頭には不安だけが過ぎる。
でもそろそろ息も限界になってきて歪む視界の中、いつの間にか口を開けていた。
「っん、」
つかさくんの舌が自由自在に動き回って完全なる生き物のそれで呑み込めない唾液が口から零れる。
内頬をなぞられ、天井部分をなぞり、歯列のいっぽんいっぽんを確かめていくような官能的な感覚にその時だけ支配された。
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作者名：ろい
| 作成日時：2020年1月21日 0時
