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ほんの少し身体を後ろに下げただけ。不必要な動作なんて必要ない、私達の動体視力なら之ぐらい可能だからねぇ。
「……だめだよ、そんな遅いスイングじゃ。次はさ殺すつもりで振ってごらん」
怖い怖い。
殺気に呑まれた進藤くんは腰が引けたスイング。赤羽くんが軽々と手に取り、其れを潮田くんに渡す。
「渚、そのボール三塁へ!!」
磯貝くんの指示で三塁に回す。次は一塁。菅谷くんがボールを取ったことで終わった試合。
「
息を吐いて髪の毛を解く。
その瞬間にどことなく違和感に気づき、本校舎の屋上を見上げた。そこには人影が一瞬だけ見えた。
「…如何して此処に、」
完全に身体は熱い筈なのに。ふと寒気を感じた。身震いをしてまた違う方向に向いた。
「少しいいかな、徳永さん」
「…………浅野くん、何か用かな?」
実質、浅野くんに会うのは初めて。喋ること自体が異様な光景である。
幾ら、理事長先生の息子といっても私のことは全て知らない筈だから情報だけが入っているくらいだと仮定していたのだけれど。
「僕の記憶では君は中間テストは学年でも3位、中々の成績だ。にも関わらずA組に来ない。何故だ?」
「…私は転入生だから。E組以外は性にあわないのかもねぇ」
「君はA組に来るべきだ」
「興味ないよ、自分たちを正当化して人を莫迦にする人達の集まりに興味なんて湧かない」
地面にあった小石を蹴ってE組の方へと歩いて行く。
「君は変わっているとよく言われないか?」
「さぁ、どうだろうね」
「他の連中なら喜んでその条件を飲む。ましてやE組なら尚更」
最早、この話も飽きた。
何回云っても同じことだというのに。…何故ここまで私を引き入れたい?
「………じゃあここいらで失礼するね、私と浅野くんが一緒に居れば無駄に目立つから」
後ろから呼ぶ浅野くんの呼び掛けになんて応答をせずに皆の方へと歩いて行った。
誰もいないような場所で異能力を発動させ、小鳥を作る。
「よろしくね、頼んだよ」
本校舎と旧校舎。どちらにも監視の目を置く必要がある。
彼処に立っていたのは確かに"芥川くん"だったから。
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作者名:ろい x他1人 | 作成日時:2019年9月5日 21時