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二球目を投げた所でバットに集中して下に構える。するとボールは見事に佳い音を鳴らして間に転がる。
一瞬、ほんの一瞬だけ誰が捕るのか迷えばもう其れは駄目。足の速さは木村くん程じゃないけど余裕だね。ベースを踏んで大人しくその位置で止まる。
「セーフ！！
これは意外、E組がノーアウト一塁だ！！」
次は潮田くん、之も大丈夫。
見事に三塁辺りにボールを転がしたのを見て二塁に走った。
之もまた余裕、二塁突入だね。
磯貝くんもバントを撹乱させ、満塁。次は杉野くんだから問題は無い。
「あーあ、之じゃあ何方が兎か分からないねぇ」
進藤くんに目を向け、ボールを投げるのを待つ。ほんの少しの殺意を向ければ勿論のこと、一般人であるか相手は混乱する。
ほら、もう余裕なんて何処にもない。
杉野くんは軽々と打ち、私は深々と外野を抜けるボールを見ながら走った。
そして走者一掃、あちら側からすれば予想外の事態だろう。選ばれた人間は屈辱だろうね、選ばれなかったと自分が見下していた相手にこんなことをされるなんて。
「その間、監督は私がやります」
……之は気を抜いていられない。なんてったって一回表から理事長先生が登場だもの。
「今入った情報によりますと野球部顧問の寺井先生は試合前から重症で野球部員も先生が心配で野球どころじゃなかったとの事。それを見かねた理事長先生が急きょ指揮を執られるそうです！！」
アナウンスが鳴り響く。
近くにいた杉野くんに少し近づき、笑いながら口を開く。
「随分とこじつけた理由だねぇ。余程、
「そりゃそうだろなー、一回表からラスボス登場とか聞いてねぇよ…」
「ふふっ、頑張ろうね」
「おう！」
次、バッターボックスに立つ前原くんの元へと行く。
「前原くん」
「よーす、A。どした？」
「……次、拙いかもねぇ」
理事長先生の声だけに集中して神経を傾ける。聞こえた言葉は最早、洗脳の域を越していた。
「ま、頑張るわ」
「よろしくね」
皆の元へと戻り、椅子に座る。
横でゲェムしていた筈の赤羽くんは何時の間にか気に食わない、なんて顔をして内野を見ていた。
「ほーんと嫌なことするよね、理事長先生って」
「…そうだねぇ」
之はもう見抜かれている、だからここまでの前進守備ができる。
其れを何も言わないのは審判の先生もあちら側だからだ。
却説、殺監督の
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作者名：ろい
x他1人 | 作成日時：2019年9月5日 21時
