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「…それで何用かな」
「楽しい楽しい依頼の時間だよ」
「何度言えば分かるのかなぁ、今は忙しいのに」
政府直々に依頼されたこの護衛任務。之のおかげで私の一年が潰れる。と云っても過言じゃないのに。
「先ず一つ目。
京都で起こしたあの事件のことだけど…どうやら徳富蘆花率いる団体の拠点に残党が居たらしくてねぇ、其れの処理。
そして二つ目。
この書類を届けて欲しい、とのことだ」
一つ目のことは個人的に近いこと。二つ目は先程、云っていた任務のことかな。
それから直ぐ、太宰は懐から茶色の封筒を私に渡した。雨に濡れないように其れを受け取った。
そうして私と太宰はその書類を届けようと今、向かっているところだ。
「………ねぇ、」
「うん、如何してくれようか」
私は後ろをチラリと見る。
「A、紙は…」
「あまり使えないかな、雨も降っていることだから」
服の袖から紙切れを二、三枚取り出す。でも直ぐに湿気を含み、使いにくい状態になる。
「なら、二手に別れようじゃあないか。
私は足止めをしておこう、その内にAはその書類を届けてくれるかな?」
「…了解」
角を曲がった所で私は成る可く足音を立てないように走った。
そして太宰は丁度、角で足を止めた。
…うん、作戦通り。
__________
「Aちゃん、こっち曲がったよね!?」
「う、うん、まだいるはず」
「……何を探しているのかな?」
雨が降る中、級生を追いかけていた一同。
角を曲がったところで現れたのは例の砂色の外套を羽織った男性。
「っ!?
あ、あの時の…」
「Aちゃんと一緒にいたイケメン!!!」
「お兄さん、徳永ちゃんと一緒にいたんじゃなかったの?」
赤が包帯を巻いた砂色に問いかける。
「Aは急用で先に行ってしまったよ。嗚呼、質問を変えよう。…"誰を"探していたのかな?」
「お兄さん、性格悪いね。んなの分かってるんでしょ?」
「うふふ、君もね」
二人の間に流れるこの空気、如何してくれようか。
「…あの子にも個人的な用ぐらいあるものだよ。詮索はあまり佳くないねぇ」
「うっ…」
「ご、ごめんなさい」
素直に謝る白が混ざった青色に緑色。其れを見た砂色は少し微笑む。
「まァ、あの子はあまり気にしていない様子だったよ。きっと之にも気づいていない。
私はあまり傍に居られないから君たちに頼もう。…あの子のことを宜しくね」
「!!
は、はいっ!」
さて、灰色は届けた頃だろうか。
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ろい(プロフ) - 零さん» ひぇっ、恐れ多いです…。今週の更新はあまり出来ませんが来週は頑張ります!!これからもこの作品をよろしくお願いします! (2019年6月20日 23時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - めちゃめちゃ面白いやんけ……暗教も文ストも好きだからめっちゃ好き……))更新無理しない程度に頑張って下さい!楽しみしにしてます!!! (2019年6月20日 22時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 柊まふさん» 最高と言っていただけるなんてすっごく嬉しいです!今、書き直しをしているのでまた1から読んでみてみるのも面白いかもしれません、是非どうぞ! (2019年5月23日 6時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
柊まふ(プロフ) - 最高です!更新 楽しみです! (2019年5月22日 16時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 無気力さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年5月21日 21時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろい | 作成日時:2019年4月14日 20時