検索窓
今日:6 hit、昨日:6 hit、合計:191,458 hit

ページ36







「…それで何用かな」

「楽しい楽しい依頼の時間だよ」

「何度言えば分かるのかなぁ、今は忙しいのに」




政府直々に依頼されたこの護衛任務。之のおかげで私の一年が潰れる。と云っても過言じゃないのに。




「先ず一つ目。
京都で起こしたあの事件のことだけど…どうやら徳富蘆花率いる団体の拠点に残党が居たらしくてねぇ、其れの処理。
そして二つ目。
この書類を届けて欲しい、とのことだ」




一つ目のことは個人的に近いこと。二つ目は先程、云っていた任務のことかな。
それから直ぐ、太宰は懐から茶色の封筒を私に渡した。雨に濡れないように其れを受け取った。


そうして私と太宰はその書類を届けようと今、向かっているところだ。




「………ねぇ、」

「うん、如何してくれようか」




私は後ろをチラリと見る。




「A、紙は…」

「あまり使えないかな、雨も降っていることだから」




服の袖から紙切れを二、三枚取り出す。でも直ぐに湿気を含み、使いにくい状態になる。




「なら、二手に別れようじゃあないか。
私は足止めをしておこう、その内にAはその書類を届けてくれるかな?」

「…了解」




角を曲がった所で私は成る可く足音を立てないように走った。
そして太宰は丁度、角で足を止めた。

…うん、作戦通り。





__________



「Aちゃん、こっち曲がったよね!?」

「う、うん、まだいるはず」

「……何を探しているのかな?」




雨が降る中、級生を追いかけていた一同。
角を曲がったところで現れたのは例の砂色の外套を羽織った男性。




「っ!?
あ、あの時の…」

「Aちゃんと一緒にいたイケメン!!!」

「お兄さん、徳永ちゃんと一緒にいたんじゃなかったの?」




赤が包帯を巻いた砂色に問いかける。




「Aは急用で先に行ってしまったよ。嗚呼、質問を変えよう。…"誰を"探していたのかな?」

「お兄さん、性格悪いね。んなの分かってるんでしょ?」

「うふふ、君もね」




二人の間に流れるこの空気、如何してくれようか。




「…あの子にも個人的な用ぐらいあるものだよ。詮索はあまり佳くないねぇ」

「うっ…」

「ご、ごめんなさい」




素直に謝る白が混ざった青色に緑色。其れを見た砂色は少し微笑む。




「まァ、あの子はあまり気にしていない様子だったよ。きっと之にも気づいていない。
私はあまり傍に居られないから君たちに頼もう。…あの子のことを宜しくね」

「!!
は、はいっ!」




さて、灰色は届けた頃だろうか。

↓→←湿気の時間



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (120 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
330人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ろい(プロフ) - 零さん» ひぇっ、恐れ多いです…。今週の更新はあまり出来ませんが来週は頑張ります!!これからもこの作品をよろしくお願いします! (2019年6月20日 23時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めちゃめちゃ面白いやんけ……暗教も文ストも好きだからめっちゃ好き……))更新無理しない程度に頑張って下さい!楽しみしにしてます!!! (2019年6月20日 22時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 柊まふさん» 最高と言っていただけるなんてすっごく嬉しいです!今、書き直しをしているのでまた1から読んでみてみるのも面白いかもしれません、是非どうぞ! (2019年5月23日 6時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
柊まふ(プロフ) - 最高です!更新 楽しみです! (2019年5月22日 16時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 無気力さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年5月21日 21時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ろい | 作成日時:2019年4月14日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。