灰色。【文スト】【暗殺教室】

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「……これは、」




吃驚した様な声を上げた彼女。




「殺せんせー、あの子には何が見えてるの？」

「クラスメイトと協調して射撃した場合の演算ソフトです。暗殺成功率が格段に上がるのが分かるでしょう」




此の言葉だけを聞くと自分を殺して欲しい。みたいな云い方。




「暗殺における協調の大切さが理解できたと思います。どうですか？皆と仲良くなりたいでしょう」

「………方法がわかりません」




所詮は機械仕掛けの彼女だから協調も何も方法が見つかるかも分からないだろうに。

人間なら笑って適当に相槌を打っていれば何とかなる筈だ。でも彼女(機械)はそうはいかない。




「おまかせあれ、すでに準備してきました」




そう云って殺せんせーは何処からか色々なものが入った箱を取り出した。




「…若しかして之、協調に必要なソフト一式に追加メモリ？」

「正解です、Aさん。危害を加えるのは契約違反ですが性能アップさせる事は禁止されてませんからねぇ」




…彼女の保護者からすれば、暗殺対象(ターゲット)に性能アップなんてされているなんて余程、屈辱的だろうけど。




「ねぇ、殺せんせー。如何してこんなことをするの？」

「こんなこと、とは？」

「今みたいに性能アップをして、自らの命を縮めるようなことだよ」

「私は暗殺対象である前に先生ですから」

「………」




"先生"か…。
私も普通の子どもだったら、共感も出来て少しは子どもらしく居れたのかもしれない。
なんて莫迦げたことを思う。




「昨日一日で身に染みてわかりましたが、君の学習能力と学習意欲は非常に高い。最新の人工知能と比べても突出しています。その高性能(さいのう)は君を作った保護者のおかげ。

そして君の才能を伸ばすのは生徒を預かる先生の仕事です」




…矢張り、殺せんせーは何処と無く"あの人"に似ている。私が大嫌いで大好きだったあの人に。




「…殺せんせー、この世界スウィーツ店ナビ機能は協調に必要ですか？」

「うわ、殺せんせー最低」

「にゅやッ、Aさんそんな蔑んだ目を向けないで！！先生もちょいと助けてもらおうかとしただけです！」




成すことは何一つ、あの人と似てはいないけど。




「にゅやッ、先生の財布の残高はたったの五円です…」

「あはは、お金なら貸すよ」

「ほ、本当ですか！？」

「利子付きで返してね」

「にゅやッ…」




そろそろ性能アップも終わる筈。そう思い、私は静かに教室から出た。

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