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朝、起きていたけど狸寝入りをしていると茅野さんに起こされた。何処に行っていたのか等、色々聞かれたけど取り敢えず笑って流しておいた。
あ、安吾さんに電話するの忘れてた。…まぁ、太宰がしてくれた筈。
「そう言えば、徳永ちゃんは昨日大丈夫だったの?」
「えっと…何が?」
「不良に首締められたとか殴られたって聞いたけど」
「ふふ、ちゃんと正当防衛をしたから」
肋を殴ったのだって首を絞められた時に抵抗しなかったのもきっと正当防衛に入る筈だから。
「ふーん…」
どこか不審そうな顔をしている赤羽くんを横目に、首にある包帯を触る。
………考えてもしょうがない、か。
私は唯、窓の外を見つめて時間が過ぎるのを待った。
新幹線から降りると、そこには見慣れた包帯が見えた。
「ねぇ、Aちゃんあそこにいる人すっごいかっこよくない!?」
「やば、かっこいい…」
女の子たちの声を聞き流しながらも、此方に来る人物に向かって口を開く。
「…如何して此処に居るの、太宰」
「迎えに来たんだよ、荷物が沢山あると思ってね」
生徒の前で探偵社員と関わると気づかれやすくなると云ったのは目の前にいる太宰である。其の本人が此処に居ることすら可笑しいのに。
「………」
「うふふ、そう睨まないでくれ給え。之ばかりは私の気遣いだよ」
そう云って私に手を差し出す太宰。
手につけてある紙に触れないように丁寧に荷物を渡した。
「却説、早く済ませようか」
そう云って出口へと歩いていく太宰を横目に少し口角を上げて笑う。
「急に"親戚"がすいません、また学校で」
「Aちゃんまたねー!!」
「ばいばい〜」
…何とか誤魔化せたかな。後処理もしてから帰って欲しいんだけどなぁ。
「行こうか、A」
「ッ、!!」
太宰は分かっていたかの様に自身の手と私の手を触れさせて握る。
太宰の異能力で私の異能力が溶けてその場に紙が落ちる。
「蛞蝓から連絡があったのだよ。声も聞きたくなかったのだけれどね、君のことだと聞いてしょうがなく出たのさ」
「…知ってたの」
「うん、勿論」
隠す必要は無かったのかもしれない。今頃になってそう思う。
私は大人しく手を握られたまま、重たい足を進めた。
「ポートマフィアにも寄るんだろう?」
「…まぁ」
この男、どこまで知っているんだ。長い付き合いの中、そう聞きたくなった私である。
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ろい(プロフ) - 零さん» ひぇっ、恐れ多いです…。今週の更新はあまり出来ませんが来週は頑張ります!!これからもこの作品をよろしくお願いします! (2019年6月20日 23時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - めちゃめちゃ面白いやんけ……暗教も文ストも好きだからめっちゃ好き……))更新無理しない程度に頑張って下さい!楽しみしにしてます!!! (2019年6月20日 22時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 柊まふさん» 最高と言っていただけるなんてすっごく嬉しいです!今、書き直しをしているのでまた1から読んでみてみるのも面白いかもしれません、是非どうぞ! (2019年5月23日 6時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
柊まふ(プロフ) - 最高です!更新 楽しみです! (2019年5月22日 16時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 無気力さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年5月21日 21時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろい | 作成日時:2019年4月14日 20時