フラクタル【ゆめくろ】 (ページ7)

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「明日の夕刻、王宮へいらしてください。
……そこで全てお話をします」

お父さんが本当は生きてる？私には妹もいる？
おばあちゃんの言伝って？

なんでランヌさんがそれを──というか王宮って、一介のギルドキーパーが入っていいもの？

「主人様、大丈夫？目がぐるぐるしてるけど」

「あはは、大丈夫じゃないかな……。
混乱しすぎてまさに笑うしかないっていうか」

口からは乾いた笑いしか出てこなくて、本当にどうしようも無くなりそう。

そんな様子の私を見たナヴィはどこか楽しげに笑った。

「あはは★
そりゃどうしようもないねえ、主人様。
……ところであの時、他に誰かいた？」

「私たちがまだ鍵の中に居た時、微かに誰かの声が聞こえました」

「あの忌々しい鍵などに閉じ込められていなければすぐに確認したものを……」

口々にそういうのを聞いて、頭の中を整理していく。

……確かに、誰かの声を聞いたような気がする、かも。
女の子の声だった、それで──

「ねぇ、何か思い出した？」

「女の子の、声…かな？」

「…………ふぅん、そっか★」

何かを考えるような、含みのある納得の仕方をしてニッコリと笑ったナヴィ。

「……ねえ。聞きそびれてたけど、なんで私のこと主人様って呼ぶの？」

「え？
だって、主人様が僕たちを鍵から出してくれたじゃん」

当然でしょ、と言いたげな顔をしてそう言うナヴィを見て頭がクラクラするような感覚に陥る。

「さっきは悪い、いきなり問い詰めるようなことしちまって。
親父が死んだことになってたとか、お前の事情も知らずに──ごめんな、ほんと」

クロウが目を伏せながら、どこか申し訳なさそうな顔をしてそう言った。
それを見て慌てて両手を胸の前で振り、私も口を開く。

「ううん、私の方こそ取り乱してごめん。
業務柄、ハプニングには耐性あると思ってたんだけどな」

「……いや、当たり前だよ」

優しい声と言葉だった。
ほんの少しだけ、救われた気がした。