L社職員さんが魔法界に来たようです【MASHLE】 (ページ34)

今日:95 hit、昨日:66 hit、合計:13,515 hit

・ページ34

No side

さて、皆も思っていると思うが、Aも何故こんなことになってしまったのか、答えは簡単だ
迷ったのである
ただ、時間が空いて書庫に言って武器図鑑を探していたら迷った。ただ、これだけなのである
迷った上でオーターのところにいるのである

「……………」
『……………』

他人から見たら気まずい空気だと思うが当本人達はなんとも思っていないらしい

「……お前は、怪談のことについて何か知っているか？」

沈黙を破ったのはオーターだった

『怪談とは？』
「…フーっ」

深い溜息を吐いてしまった
Aは無表情ながら「めんどくせーな、こいつ」という呆れた顔をしていた

「"9章2節の著者"。ここら辺に本を書いている"化け物"がいるらしいです」
『…はぁ』

オーターは余程Aと関わりたくないのかそう言ってまた黙ってしまった
Aが情報を言うまでは黙っているつもりだ

『その"本"とやらがどんなものかによりますが、心当たりはありませんね』
「…使えないな」

Aに毒を吐きまた、黙ってしまった
Aもまた、「ホンットめんどくせーな」と思ってそうな顔をしている。無表情だが
＿＿＿＿＿＿
Aとオーターは本棚に隠れていた
オーター達が見ている場所には、火が灯っていない蝋燭5本と例の"9章2節の著者"がいたのだ
著者はカルドが言った通りの見た目をしており、狂ったように本に何かを記している

「…私が仕掛ける、君は増援…を」

オーターが指示を出す前にAは著者の方に斬りかかっていた、そう思われた

『！、…嘘だろ』

Aもそう思ったのだろう
そう、攻撃が当たったのは著者ではなく蝋燭だった
蝋燭には火が灯った

『変わっているな』

Aがそう呟くと蝋燭は火の粉をAの方に打った

『！？』
「…」

火の粉は、オーターが作った砂の壁により打ち消された

「無策で突っ込むな。対処困る」
『…すみません』
「あれはなんだ」
『分かりません』
「…あ？」

そりゃそうだろう。唯一幻想体について知っている人間が即答で知らないと言ったのだから

『あれは、私のいた所にはいないものでした』
「…フーーっ」

本日何度目か分からない長い溜息を吐いた

『けど、蝋燭を全て灯せば何とかなるかもしれません』
「……1度、信じるとしましょう」