【OP】雪の棘はこの胸に【サボ】【エース】 (ページ20)

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号外と帰還ページ20

ルフィと冥王が知り合いかと思ったけどどうやらそうではないらしい。いや…ルフィの記憶力はあてにならないけど相手の言い方からして知り合いと言うよりは間接的に知ってるだけの印象を受けた。

「この島ではコーティング屋のレイさんで通ってる」

あぁ、キミらワシはもうさっきの様な力は使わんので後は頼んだよ。正体が海軍にばれたら平穏に暮らせないんでね…とのことらしい。

ケイミーの首輪を外すのにヒヤヒヤしたこともあったけどなんとか他の奴れい達も解放し一緒にオークションにだされる予定だった巨人くんが彼らを解放してくれるらしかった。

私の爆薬首輪や手錠はルーキーのトラファルガー・ローが外してくれたようだった。

「それにしても魔法使いの縁者が生きていたとはな」

『？』

「自覚症状はなしか」

オークションハウスは大将待ちの海軍達に囲まれていて3人船長によって陣形が崩されたのにまだまた海軍の勢いはそがれていないらしくこっちに向かってくる。

「君はどうするんだね？」

『気にかけてくれてありがとう冥王。私はこの騒ぎに乗じて逃げ出すわ』

「その傷でか？」

そう声をかけられて自分の姿を見ると自分で思って居た以上に傷だらけで驚いてしまった。あまり痛みは無いというかあんまり感覚が無くて何だかヘンな胸のざわめきだけが残っている。

『あはは…大丈夫。帰還方法だけは持たされてるから。すぐに帰れるの…手錠されてたから使えなかったんだけど』

「そうかそうか、気を付けて帰りなさい。随分白ひげも心配してることだろう」

『はい、助かりました。シルバーズ・レイリーさん』

一個に付き一度きりの鍵を使って扉を作るとその中に飛び込んだ。早く皆に伝えないと、エースと黒髭のこと…エースとはぐれてしまったこと…エースのビブルカードもポケットを探したけど見つからないから今の私じゃ居場所が分からない。

エースが黒髭に負けるはずなんて無いと過信してた。

急いで扉の中の空間を必死に走り抜けて出口の扉を開いた。

□■□

その後の事はほとんど覚えていない。

ただ信じられない事実を聞いてへたりとその場に座り込んだ私は気づけば戦場のまっただ中で何も出来ない自分、何も変われない自分の愚かさと残りの兄弟まで失ってしまう恐怖心でただただ泣くことしか出来なかった。

もう何も失いたくないのに。もう誰にも居なくなって欲しくは無いのに処刑台にいる兄は私を遠くから見ると無事で良かったと呟いた気がした。