ターニングポイント 1 ページ35
僕が入所したのは夏の暑い日だった。当時ソウル大学の学生だった僕はうだるような暑さの中徒歩で通学していた。僕はあまりの暑さに汗で額に張り付いた長い前髪をかき上げた。普段なら絶対やらないことだが、これも運命というのか。 良好になった視界を上に広げると、雲1つない。
「今日は本当に天気がいいな…。」
思わずつぶやいた。そして視線を前に戻しまた歩き出そうとすると目の前に人がいた。ぶつかりそうになりあわててよける。
「すみません…」
大の大人がが空をぼーっと眺めていたところを見られ恥ずかしさでそのまま立ち去ろうとすると腕をつかまれる。
??「ちょっ、ちょっと待ってください!」
腕をつかまれたことに不審感を覚え、警戒心をつのらせる。
「なんですか?」
??「私こういう者なんですが…」
渡されたのは名刺。
「Big Hit Ententainment パン・シヒョク? なんですか、これ?」
芸能事務所か？でも、Big Hit Entertainmentなんで聞いたことがない。
BS「君、練習生になる気はない?」
「冗談を言うのはやめてください。僕はもう20歳ですよ」
BS「冗談なんかじゃない。私は本気だ。私は今世界を目指すグループを育成している。君がいればそれも夢ではないような気がするんだ。私の勘がそう言っている。年齢のことなら気がしなくていい。君と同い年の子がいるから。どうかね? 見学だけでも来てもらえないかい?」
ものすごい勢いで話すパンさん。僕はこの人の熱量に負けて見学に行くことになった。それにこの人は世界を目指すと言った。僕はその言葉に惹かれたんだ。大切な人の願いを叶えられると思ったから。なんでそう思ったかはわからない。けどそういう確信があったんだ。
これが僕のこれからの人生のターニングポイントだった。
_____
BS side
これは運命だと思った。私がここを歩いていたのも目の前の子が私の目の前で髪をかき上げたのも。長い前髪で見えなかった顔があらわになった瞬間僕の体に電気が走った。目鼻立ちがはっきりして整った顔。きれいな青い目。今この子が見ている空の青とはまた違った青。
欲しい。この子を逃してはならない。
そんな考えが一瞬にして私の頭の中を埋め尽くす。
なんとか見学に来てもらえることになった。ここからがふんばり時だ。なんとしてでも引き入れなくては…！
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作者名：ミキ | 作成日時：2021年10月26日 9時
