story 87 ページ37
朱莉にも言えてない事があった。話そうと思っても、朱莉の負担になるんだじゃないかと思って、言い出せなかった。
『っ、実は、最近家に帰っても…人、いないんだよね。』
If「え…どういう事や」
『みんな、忙しいの。妹も、お姉ちゃんも、お母さんも…。誰もいない家に、一人でいるのが、こんなに寂しいんだって、初めて知った。』
涙が零れるのを堪えながらそう話した。いふくんは、その間もずっと、私の頭を撫で続けてくれた。
If「…ん…そっかそっか。」
『っ…私、知らない間に、こんなに弱くなっちゃったんだなぁ…』
昔の私なら、これくらいどうってこと無かったのに。もっと辛いことが沢山あって、そっちでいっぱいいっぱいだったのに。
幸せになりすぎたなぁ。上手くいってる時ほど、幸せな時ほど、辛いこと、苦しいことが、もっと辛く、苦しく感じる。なんで神様は人間をこういう風に作ったんだろうなぁ。
If「…Aは弱くなんかなっとらんよ。」
『…昔の私見たことないくせに…。』
If「…確かに、見た事はない。…俺が言いたいんは、Aが辛かったら結局一緒だと思うってことやで。」
『…どういう事…？』
If「辛いとか、苦しいっていう感情に、重いとか軽いとかないと思うんよ。結局それって全部“辛い”に入るんやし。」
そうやって言われたことがなかった。辛いは辛い、か。
If「Aが弱くなったわけやない。確かに、昔のAと比べたら、辛くはないかもしれん。でも、Aが辛いのに変わりは無い。」
『っ…』
If「無理、せんでええよ。」
いふくんのその一言で、今まで涙を止めていた壁が崩れた。
If side
ポロポロと涙を零し始めたA。少し強い言葉を使ったかもしれないと慌てていたから、余計に焦った。
If「ご、ごめん！ごめんな、持論語ってもうて…」
『違う…、違うの…。なんだろう、これ、凄く、気持ちが、心が、楽になったの…。』
目を手で擦りながら途切れ途切れの言葉を紡ぐA。
If「ぇ…、っ、A、ぎゅー…」
『っ…ぅ…』
大粒の涙を流すAを強く強く抱き締める。俺の胸に顔を埋めたAは弱々しく俺の背中に手を回した。
『…いふくん、ありがと…』
If「まだ我慢してることあるやろ？吐き出してええから。我慢せんでええから。」
そう言いながらAの背中をトントンと優しく撫でるように叩く。Aはまだ、泣いていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Luna@スランプ(プロフ) - キラリ@ピグ民さん» コメントありがとうございます！本当ですね…ご指摘ありがとうございます！すぐ直しますね！嬉しいです…！凄くのんびりですが更新してますので良かったら続きもよろしくお願いします！ (8月25日 9時) (
レス) id: 162dd03429 (このIDを非表示/違反報告)
キラリ@ピグ民(プロフ) - すいません。あの97ページの5行目で「りうら」がりくらになっております。間違いでなかったらすいません。あと、このお話めっちゃ好きです。好みです。この、ifくんの優しさが尊い・・・♡ (8月23日 16時) (レス) @page47 id: 408d49e73f (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - おんプリンさん» コメントありがとうございます！いやぁ…あの2人いいですよねぇ（？） (2022年10月14日 23時) (レス) id: d192e913df (このIDを非表示/違反報告)
おんプリン - なにこれ…めっちゃ尊いじゃないですか!! 訳((いいぞ。もっとやってくれ。 (2022年10月9日 19時) (レス) id: d4139165cf (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - mame_03さん» コメントありがとうございます！気になりますよね…はい…頑張って書きます！ (2022年8月16日 10時) (レス) id: d192e913df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Luna | 作成日時：2021年12月18日 16時
