Thirty story ページ30
「A。」
「あ、来た。」
「あ、来たってなんやねん…」
改札から出てきた彼を見てそう言うと、彼は呆れた顔をしてそう言った。
「わざわざ来なくても良かったのに…」
「いーのーほら行くよー」
そう言って手を引かれ入っていったのは、彼が先程出てきたばかりの改札。新幹線なんて安く乗れるもんじゃないのに、なんて思いながら改札をくぐった。
・
・
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「着いた〜」
「お邪魔します」
「どーぞー」
靴を脱いで部屋に上がると、見慣れてしまった光景。
「ねぇ」
「んー?」
「私さ、」
私が口を開くとこちらを振り向いて首を傾げる彼。どんな反応するんだろう、と少し楽しみになった。
「仕事辞めた。」
「は?」
「会社辞めた。」
「……はぁ…。アホやな。お前これからどうするん?」
「考えてない。」
我ながらアホだなぁなんて思いながら、焦りは全くなかった。
「…じゃ、俺と一緒にいてくれん?」
「は?」
「こんな風に言うと思ってなかったんやけど…俺と、結婚してくれん?」
「はぁ…へ…?けっ、こん…?」
「うん。」
「…結婚!?」
頭が追いついた瞬間顔に熱が集中するのが分かった。こういうのってどうやって返事するのがいいんだろう、とあまり関係ないようなことを考えながら。
「ぁ、え、その…よ、よろしくお願いします…?」
「なんで疑問形なん」
そう言ってクスクスと笑い始めた彼に「こっちは真面目に言ってるのに!」と怒ると、彼はごめんごめんと謝って真っ直ぐ私を見詰めた。
「ほんまに、ええの?」
「うん。いふくんが良い。」
「はぁ〜良かったぁ…」
安心しきったのか私に抱き着いて離そうとしない彼。ゆっくり抱き返して背中を撫でると抱きしめられる力が強くなった。
「そう言えばさ」
「ん?」
「いふくんっていつから私の事好きだったの?」
「ずーっと前やで?」
「ずっと前…か。」
「10年。告白してからもうそんなに経つんか…」
「そうだね…びっくり。」
「10年経っても好きな人がいるって、俺幸せやな。」
「じゃあ私も幸せ者だね。」
2人でらそう言って笑い合う。
end
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Luna@スランプ気味(プロフ) - 彩結さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです!ありがとうございます! (2023年1月31日 21時) (レス) id: d192e913df (このIDを非表示/違反報告)
彩結 - 初こめ失礼します!久しぶりにirisタグで作品漁ってたら出てきて読んでみたらすっごい良かったです!!それと、2周年おめでとうございます! (2023年1月31日 19時) (レス) @page23 id: de9627e524 (このIDを非表示/違反報告)
Luna@スランプ気味(プロフ) - あおさん» コメントありがとうございます!展開迷子だったんですがなんとかここまで持ってこれました…wこれからも頑張ります! (2023年1月11日 22時) (レス) id: d192e913df (このIDを非表示/違反報告)
あお - 更新ありがとうございます、ガチで神作だなって思いました……(誰目線)更新待ってます、頑張ってくださいっ(*´꒳`*) (2023年1月10日 22時) (レス) @page20 id: 6422e385c4 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - *祐霧*さん» コメントありがとうございます!嬉しいです!ありがとうございます! (2022年11月27日 14時) (レス) id: d192e913df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Luna | 作成日時:2022年8月13日 19時