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Twentyseven story ページ27

Aside


「はぁっ、はぁっ、」


久しぶりに走るとこんなに疲れるものなのか、と痛感した瞬間だった。今から大事なことを伝えに行くのに何故か頭の中はそれ以外のことでいっぱいだった。


「はぁ、はぁ…着い、た…」


少し走っていふくんの家の前にまた、私は1人で立っていた。


「…っ、…行かなきゃ、だよね。」


せっかくいむくんが送り出してくれたんだ。ちゃんと、勇気出さなきゃ。


震える手でインターホンを押した。無機質に音を立てるインターホンは、気楽でいいなと思った。


「っ、Aっ、」


「うわぁっ、ちょ、」


ドアが開いたかと思うと勢いよく抱き着いてきたいふくん。きつくキツく抱き締められる。


「ど、どうしたの…」


「どうしたのって…お前、こんな時間に1人で女出歩かせたらそりゃ心配するやろ…!」


「でも、出てったのは私だし…」


「いやいや、連絡ちょっとしてみたけど全然返事あらへんし…なんかあったんかと思って…めっちゃ心配しとった…」


「…ごめんね。」


躊躇いながら、いふくんの背中に手を回してぎゅっと抱きしめるといふくんのが肩に顔を埋めてきた。


「…中、入る?」


「…うん。」

私は、人知れず手をぎゅっと握りしめる程に緊張していた。手のひらに食い込んだ爪が、少しだけ痛かった。




























「あの…」


「うん。」


部屋に入り緊張しながら口を開く。


「…私は、いふくんが…」


「うん」


「いふくんが…」


あと少し、勇気を出せば伝えられる。だから、今頑張らないと。学生の頃以来の独特な緊張を感じた。


「いふくんが、好き。」


「うん。ありがとう。伝えてくれて。」


「…うん。」


「俺も好きやで。」


「うん…」


「んもー、そんな泣きそうな顔すんなって」


涙で視界がぼやけていることに気が付きながら、溢れそうになる涙を堪えていたのにいふくんは平気でそう言う。


「だって…」


「もー、おいで?」


腕を広げたいふくんに倒れ込むように抱き着くと、止められなかった涙がいふくんの服を濡らした。


「うぅ…」


「俺は、10年前からずっとAのこと好きなんやで。ずーっと。」


「うん…」


「そんで、これから先もずっと好き。な?」


「うん…」


「うん」以外の言葉が言えなくなったんじゃないかと思うくらい単調な返事に自分でも驚きながら、いふくんの事をぎゅっと抱きしめた。

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作品ジャンル:恋愛
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Luna@スランプ気味(プロフ) - 彩結さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです!ありがとうございます! (2023年1月31日 21時) (レス) id: d192e913df (このIDを非表示/違反報告)
彩結 - 初こめ失礼します!久しぶりにirisタグで作品漁ってたら出てきて読んでみたらすっごい良かったです!!それと、2周年おめでとうございます! (2023年1月31日 19時) (レス) @page23 id: de9627e524 (このIDを非表示/違反報告)
Luna@スランプ気味(プロフ) - あおさん» コメントありがとうございます!展開迷子だったんですがなんとかここまで持ってこれました…wこれからも頑張ります! (2023年1月11日 22時) (レス) id: d192e913df (このIDを非表示/違反報告)
あお - 更新ありがとうございます、ガチで神作だなって思いました……(誰目線)更新待ってます、頑張ってくださいっ(*´꒳`*) (2023年1月10日 22時) (レス) @page20 id: 6422e385c4 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - *祐霧*さん» コメントありがとうございます!嬉しいです!ありがとうございます! (2022年11月27日 14時) (レス) id: d192e913df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Luna | 作成日時:2022年8月13日 19時

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