１７８話 ページ33
「……行ったな」
「ああ。行ってしまったな」
呼び出しておいたリムジンに乗せられ、空港へと帰っていったツナ達。
真っ黒なそれが見えなくなるまで、俺は見送った。
幹部達が一人、また一人と邸内へ戻っていくのに対し、XANXUSだけはその場に残る。
ついでに言っておくと下っ端連中は既に人払いしている。
もし敵に寝返った際、ツナ達の情報を漏らされては堪らんからな。
「お前は……」
「ん？」
唐突に彼は脈絡のない話をきりだそうとした。
俺はそれに耳を傾ける。
「お前は……俺から、離れねぇか」
彼が問うてきたのはそんなことだった。
いつもの彼にしてはらしくない、儚げで縋りつくような声。
俺はしばらくその言葉の意味を再確認し――はあっ、と盛大に溜息を吐く。
それに何を勘違いしたのか、俺へ絶望の視線を向ける彼に。
「何を言っている。
独りで抱え込むな、と言ったのは君だろう。
こうなれば地の果てまで頼ってやる。
…………君から、離れられるわけないではないか」
そう呟きながら俺は人化を変化させ、外見としては20の姿になる。
黒い靄に包まれ、視界が晴れる頃には彼より少し低い目線へと変貌した。
元々が弱体化していたので"戻った"というべきか。
俺の力が封じられた７³がないので少々きついが、これくらいはわけない。
俺はXANXUSの体を自分の胸に預け、そっと濡れ羽色の髪を撫でる。
彼が幼い頃より、こうしながら声をかけて落ち着かせていたのでな。
次第に彼から微かな寝息が聞こえた。
いくら"憤怒の暴君"と裏で恐れられていれど、
いくら"ヴァリアーのボス"として君臨していれど、
結局彼は裏切られて失う事を極度に恐れた、16のまま時が止まった少年なのだ。
俺は比較的穏やかな寝顔のXANXUSを抱える。
眠っている彼のプライドもへったくれもない――というわけで、
夜の死炎を使って執務室へと移動した。
キングサイズのベッドに彼を下ろし、俺も寝ることにする。
実際は眠る必要などないのだが、今は彼の傍にいたいのだ。
皺一つないシーツに沈み、俺は束の間の眠りについた。
しばらくして――すぅっと、XANXUSの紅い双眸が闇に浮かぶ。
紫苑は先程の長く艶やかな髪を背中に流した姿からいつもの姿に戻っている。
その姿でさえ、生唾を呑み込む程の色気が滲み出ていた。
彼は所有印を刻みたい欲望と衝動を抑え、優しく彼女の喉と手のひらにキスを落とした。
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misyou.go2(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます！常識がちょっとずれた夢主なんでそう言ってもらえてうれしいです！これからも頑張りますので("´∀｀)b (2017年3月31日 20時) (
レス) id: ffd771d2d5 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - おぅ……夢主らしいツッコミだな……。ハラハラドキドキで読んでます。これからも楽しみにしてます！ (2017年3月31日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
misyou.go2(プロフ) - 桜さん» な、なんと貴方からの応援…！ これは本当頑張らねばなりませぬな！！ (2017年2月14日 18時) (レス) id: ffd771d2d5 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - いよいよ原作未来編ですね！ ものすごく楽しみです！ 今からすでにワクワク状態ですｗ これからも更新応援してます。 (2017年2月14日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
misyou.go2(プロフ) - 出席番号・32番さん» おお！ありがとうございます！ (2017年1月8日 9時) (レス) id: ffd771d2d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：misyou.go2 | 作成日時：2016年9月15日 14時
