１７７話 ページ32
俺の顎を引き、己の眼と合わせ、『俺』を見つめる。
そんな彼の紅い瞳には、虚ろな俺が映っていた。
「……独りで、抱え込むんじゃねえよ」
「……っ！」
やはり、彼は『俺』を見てくれている。
今の俺が欲していた一言を簡単に与えてくれる。
「お前、またなんか塞ぎこんでやがるなぁ゛？
いい加減んなこと止めちまえよ」
いつもはあんなにデリカシーのないスクですらも、俺を蔑まなくて。
銀灰色の三白眼が真っ直ぐに俺を見据えていて。
「そうですよ。少しは俺達を頼ってくれてもいいじゃないですか」
「ねーちゃんってば、なーんかオレ達に隠し事多いんだよなー」
「クフフ、他人には頼れだのなんだのと手を差し伸べて下さるくせに」
「肝心な所で、貴方は僕を頼らないんだよね」
こんなに汚れた俺を、彼らは気にせず触れてくれて。
温かくてぬるま湯のような、抜け出せない毛布に包むかのような、そんな言葉をかけて。
――嗚呼、弱くなってしまいそうだ。
「………ありがとう、な」
俺が涙を見せないように俯いて言うと、彼らは各々笑っていた。
そのどれもが、昔から見てきたヒトや人間の下卑て欲に満ちたものとは違って。
酷く、心地いい。
―――プルルルルル、プルルルルル…
そんな雰囲気をぶち壊したのは、一本の電話。
だがここ『VARIA』本部へ直に繋げられる者など滅多にいない筈ではなかったろうか。
XANXUSが受話器をやけに遅い動きで持ち上げる――と同時に素早く叩き切った。
その直前、なにやら『ザンくーん！ わs』……という聞き覚えのある声がした気がする。
「ねえ、XANXUS？」
「……なんだ」
「電話「気にするな」」
「いやでも9代目……」
「電話などかかってこなかった――いいな？」
即答し殺気交じりの威圧をかけ念を押す彼は、
"電話がかかってきた"という事実自体をなかったことにしようとする。
気持ちも分からなくはないが。
「そ、そっか……じゃ、俺達は帰るね。
本当にありがとう」
「ああ。――また来い」
風船が萎むように小さい声音で発したその一言は、
今まで他人を拒絶し続けた彼が自ら歩み寄る第一歩で。
それを聞いたツナは花が咲くような笑顔で頷いた。
「うん、勿論！」
その言葉に彼は、ふっ、と滅多に見せない微笑みを見せた。
幹部連中は、そんなボスに唖然とするばかり。
スクなんかは「ボスがご乱心だぁ！」と騒ぎ立て彼の裏拳で気絶。
レヴィは敬愛するボスの微笑みに鼻血を噴いて倒れた。
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misyou.go2(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます！常識がちょっとずれた夢主なんでそう言ってもらえてうれしいです！これからも頑張りますので("´∀｀)b (2017年3月31日 20時) (
レス) id: ffd771d2d5 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - おぅ……夢主らしいツッコミだな……。ハラハラドキドキで読んでます。これからも楽しみにしてます！ (2017年3月31日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
misyou.go2(プロフ) - 桜さん» な、なんと貴方からの応援…！ これは本当頑張らねばなりませぬな！！ (2017年2月14日 18時) (レス) id: ffd771d2d5 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - いよいよ原作未来編ですね！ ものすごく楽しみです！ 今からすでにワクワク状態ですｗ これからも更新応援してます。 (2017年2月14日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
misyou.go2(プロフ) - 出席番号・32番さん» おお！ありがとうございます！ (2017年1月8日 9時) (レス) id: ffd771d2d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：misyou.go2 | 作成日時：2016年9月15日 14時
