１７６話 ページ31
翌朝、ツナ達は日本へと帰る支度を始めていた。
朝食を終えて数時間もすれば飛行機に乗って離陸するのだという。
朝に弱いXANXUSはコーヒーと軽いサンドイッチくらいしか受け付けない。
その気になれば肉厚ステーキなど簡単に完食できるだろうが、彼曰く「めんどくさい」とのこと。
寝る時は全裸派な彼の元へ朝食を運ぶ役割は、もう俺へと定着した。
他の奴なら機嫌の悪い彼を目の当たりにし
良くてグラスがあたり医務室へ、悪くて椅子や骨董品があたって死――なんてことはザラで。
そんな所業が許されるのは、やはり強者・曲者が揃う『VARIA』だからだろう。
「もう帰んのか」
「え？ うん。学校とかもあるし、ずっとここにはいられないよ」
「……永住すりゃいい」
「出来る訳ないだろ！？」
寝起きで目つきと雰囲気が3割程凶悪になったXANXUSにも怯まずツッコむツナは流石だな。
意外と本気だったらしい彼は、ぶすっ、とふてくされ玉座に踏ん反り返る。
こういう人の子染みたところが、彼を『人間』たらしめるのだと思う。
『完璧』≠『人間』というのは俺の持論だ。
"完璧"を冠する者は生きる気力すら湧かない"欠陥品"でもあるのだから。
完璧であるからこそ全てを理解し達成し、全てを諦め、興味が失せる。
周りですら次、次、次――と結果を求め、自身は結果を出すだけの人形と成り果てる。
他者と自分を切り離し、孤独と感じ、ついには全てが"つまらない"としか思えなくなる。
――そう、かつての俺のように。
「……おい、」
黙り込んで一声も発さない俺を不審に思ったのか、XANXUSが俺に声をかける。
それに気づいたツナも気遣うような表情で俺を見る。
「どうした」
「案ずるな。少し、考え事をしていた」
そんな声と視線に"笑顔で"答える。
歳月が流れたとはいえ、俺は臆病だった。
裏切られ、憎まれ、蔑まれ、利用され、また裏切られて
こういった負の連鎖の末に憎しみと不信と嘲りに染まり、俺は悪神へと堕ちた。
憎悪と後悔と怨恨の記憶が、未だ枷として俺を縛る。
―『楽なものだ、情は人をダメにするなぁ』―
あいつを奪い、皮肉にも手遅れの信頼を気づかせた男の声がフラッシュバックする。
あの日、俺は後悔と殺意と憤怒に染まった。
遠い昔の惨劇を再び繰り返す寸前までに我を失った。
俺に近い者が離れる程、その距離は遠くなって――
「――紫苑」
「……！」
俺を現在へと戻す凛とした声を発したのは、やはり王である彼だった。
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misyou.go2(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます！常識がちょっとずれた夢主なんでそう言ってもらえてうれしいです！これからも頑張りますので("´∀｀)b (2017年3月31日 20時) (
レス) id: ffd771d2d5 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - おぅ……夢主らしいツッコミだな……。ハラハラドキドキで読んでます。これからも楽しみにしてます！ (2017年3月31日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
misyou.go2(プロフ) - 桜さん» な、なんと貴方からの応援…！ これは本当頑張らねばなりませぬな！！ (2017年2月14日 18時) (レス) id: ffd771d2d5 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - いよいよ原作未来編ですね！ ものすごく楽しみです！ 今からすでにワクワク状態ですｗ これからも更新応援してます。 (2017年2月14日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
misyou.go2(プロフ) - 出席番号・32番さん» おお！ありがとうございます！ (2017年1月8日 9時) (レス) id: ffd771d2d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：misyou.go2 | 作成日時：2016年9月15日 14時
