１７４話 ページ29
舞うように剣と刀がぶつかり合う様を俺は眺める。
山本もつい最近流派を会得したとは思えぬ程の成長を見せ、
対するスクも負けず劣らず元々の才を更に鋭く磨いていく。
剣士には剣士にしか分からぬことも多いな。
俺はそういったことは分からん。
ただ、雨月が言っていたことには共感したのを覚えている。
あいつは音楽を愛し友を愛した。
ジオに窮地が迫らなければ、その後もあいつは清らかな笛の音を響かせていた事だろう。
そんな楽器を売り払っても笑顔を絶やさなかったあいつに、俺は一度聞いた事があった。
『何故、命よりも大切だと言っておった楽器を売ろうとも、お前は笑っているのだ？』
まだ人間の心というものを全く理解しなかった俺に、雨月は笑って言う。
あの言葉は、少なくとも俺が人間の心に興味を持った発端でもあった。
『私は、何も友を失ってまで得られる音楽などないと思っているのでござる。
音楽を愛し、友と共に平和へ向かってこその私なのでござるからな。
紫苑も分かる時がきっと参る。
《人》というものは、支え合ってこそなのでござるよ』
『……ふん、やはり人間という生き物はよく解らん』
そっぽを向いてごちる俺に、やはり雨月は笑っていた。
あの時は理解できなかったことも、今なら解る気がする。
「う゛お゛ぉい！ ここらで一旦、終わりにしといてやる！
鍛錬サボりやがったら叩っ斬るからなぁ！！」
「了解したのな！ 結構楽しかったぜ！」
「ほざけ！ んなことは俺に勝ってから言いやがれぇ！」
「はははっ！」
スクの叫ぶような声に我に返る。
時間としては1時間弱だが、彼らはまるで数日斬り合った仲のように打ち解けていた。
俺もヒトを憎むのではなく間違いを諭していれば、あんな惨劇を起こす事もなかっただろうか。
「う゛お゛ぉい！紫苑！！
てめぇ何そこで座り込んでやがる！ さっさと行くぞぉ！」
「はははっ。スクアーロ、そんな風に言ったら紫苑さんが怖がっちまうぜ？」
「ざけんなぁ！あいつがそんなタマな訳ねえだろ！」
「るっせぇ」
余計な事を抜かしたカス鮫に上段回し蹴りをくらわせる。
面白いほどに吹っ飛んだ奴は、これまた可笑しなほどに吠えている。
負け犬の遠吠えかと嗤ってやりたい。
嗚呼、悩みなど流されてしまった。
2人はやはり雨のようだ。
今は現在＜ｲﾏ＞
過去を悔やんでも仕方ない。
俺は、彼らのような人間を見守っていけばよいのだろうか。
……なあ、シルビ。
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misyou.go2(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます！常識がちょっとずれた夢主なんでそう言ってもらえてうれしいです！これからも頑張りますので("´∀｀)b (2017年3月31日 20時) (
レス) id: ffd771d2d5 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - おぅ……夢主らしいツッコミだな……。ハラハラドキドキで読んでます。これからも楽しみにしてます！ (2017年3月31日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
misyou.go2(プロフ) - 桜さん» な、なんと貴方からの応援…！ これは本当頑張らねばなりませぬな！！ (2017年2月14日 18時) (レス) id: ffd771d2d5 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - いよいよ原作未来編ですね！ ものすごく楽しみです！ 今からすでにワクワク状態ですｗ これからも更新応援してます。 (2017年2月14日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
misyou.go2(プロフ) - 出席番号・32番さん» おお！ありがとうございます！ (2017年1月8日 9時) (レス) id: ffd771d2d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：misyou.go2 | 作成日時：2016年9月15日 14時
