レポート33・オペレッタ ページ33
あんずside
｢うひゃあっ！？｣
｢ふふっ、素敵な歌声だね。休憩しよっか｣
｢あ、ありがとうございます…！｣
私が冷たいペットボトルを後ろから首に当てると、その子は紫之くん並に可愛い反応をしてくれた
癒される…♪
｢ん？私のことを見つめてどうしたの？｣
｢あ、あの…私はアイドルじゃないのに、どうして練習に付き合ってくれるんですか？｣
｢プロデューサーですから♪｣
｢…？そ、そうなんですね？｣
本当は、三毛縞先輩に頼まれたから
…なんだけど
どういう訳か、内緒にしておくように言われてる
｢いつからソプラノ歌手を目指してるの？｣
｢目指すというか…元々、私の家は歌や楽器で人を喜ばせることが多くて｣
｢…！｣
｢それで、私も小さい頃から練習させられてたんです｣
｢そう、なんだ｣
それって
世界中のあちこちで、ある有名な歌劇団が上演してるあれのことじゃ…
｢苗字を聞いてもいい？｣
｢…い、言わなきゃだめですか？｣
｢うぐっ…ダメ！先輩命令！｣
｢うぅ…｣
初めて、この子の家を知った
凄く誇らしいことのはずなのに
どうして、Aちゃんは隠すんだろう？
｢古いって、時代についていけない…衰退していくだけのオペレッタは聞くに値しないって。言われてて…｣
｢そんな…！｣
｢最近、どこもかしこも技術より人気なんです。どれだけ素晴らしくても、知名度がないなら舞台も貸してくれない…｣
｢…｣
口にしないだけで、それはきっとアイドルのせい
アイドルがあちこちの舞台を使ってるせいで、Aちゃんの家はゆっくり姿を消していくしかなかったんだ
｢Aちゃん！｣
｢は、はい！？｣
｢革命を起こそう！｣
｢…え？｣
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りっちゃん
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2022年3月8日 8時
