【REBORN】短編集

名もなき彼の独白…XANXUS　(not夢) ページ6

そうだ。
例えば俺がどんなにもがいても俺はあんたから産まれたことに変わりはないのだ。


あんたがどんなに俺を嫌いでも、貶しても、蔑んでも、傷付けても、
あんたは俺を産んだことに変わりはないのだ。


それはただの思い込みとすれ違いとを繰り返し、
たくさんのなにかが擦れてなくなっていく音が俺には確かに聞こえた。


――積み上げてきた大切ななにかが静かにゆっくりと、それでも確かに崩れていく音だった。



あんたはきっと誰より俺が嫌いだ。
俺はそれをわかってる。もう好かれようとは思わない。


それは俺が芯の方からなにもかもをリセットし新しく生まれ変わらないと
あんたは俺を好きになれないと知っているから。


あなたが僕を愛してくれることはきっとないだろう。
あなたが僕に、"生まれてきてくれてありがとう"などと言うことはきっとないだろう。


僕はそれを知っている。俺はそれを受け入れてる。
それでも胸をすり抜ける冷たいなにかを防ぐことができない。


できれば僕はあなたに認めて欲しかったのかもしれない。
あなたから産まれてきたのであると認めてほしかったのかもしれない。


あの時から崩れたなにかはもう修復できないのだ。
下ろすにはもうずいぶん上まで積み上げてしまったのだから。



「お前なんて×××いいのに」

「汚らわしい子だ」

「産まなきゃよかったじゃないか」



突き刺さる荊は深く広く僕をじわりじわりと痛め付けるのだろう。
たくさんの荊をもつあんたでも、やはりどうしたって俺の母親なのだと、傷と共に知るのだ。








問う、呼吸
(僕が俺に変わり、後にとある妄想にとりつかれる女からの愛情を、諦めた日の事だった)



Title by 彼女の為に泣いた 様

気付いても、後の祭り…XANXUS　【シリアス】→←君が笑ってくれるなら…雲雀恭弥視点　↑の続き

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す