380.勇気と素直さ ページ21
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「そうですか…」
国立の方が学費は安い。けど、その分勉強しなきゃ…
「勉強、できるかな…」
「あんなにたくさん勉強してきたのに？」
「もう忘れてるし、年もとって頭も悪くなってるかも…」
大変だろうな…いや、セフンさんのため、頑張る！！
…でも、本当に大学合格できるかな。
もしかして、遠回りじゃないかな…。
「…ねぇ、Aちゃん」
「はい…」
名前を呼ばれてセフンさんの方を見る。
「A、忘れてるよ」
「…え、何を、ですか…？」
私が聞くと、セフンさんは、ふーっ、と息を吐く。
「自分をダメな人間だなんて思わないこと。少なくとも、Aはこーんな怪しい所に1人で入って来るほどの勇気のある人なんだから」
それは、セフンさんの、お客さんに対する常套句。
「っ…」
「Aなら、なんでもできるよ。その、勇気と素直さ。きっと、どこでも、輝ける。俺が保証するよ」
「せふん、さん…っ」
「うおっ！」
私はつい、机を越えてセフンさんに抱き付く。
「あははっ、泣いちゃったの？」
私はコクコクと頷いた。
「そっかぁ。でも、何も心配しなくていいんだよ、A」
よしよし、とセフンさんの大きな頭で撫でられて、安心する。
「俺も、力になる。勉強…は、俺高卒だから教えれないけど、奨学金は返すの手伝うし」
「え、いや、でも…」
「たぶんだけど、俺のためでしょ？大学行きたいっていうの」
セフンさんは、理解してくれていた。
「キムジョンデさんって、ジェンダーとかセクシャリティについて研究してる人だったもんね。俺のためなら、俺もお金払わなきゃ」
「でも…うち、全然お客さん来なくて、貧乏、だし…」
「あー…大丈夫。俺、別の場所でも働いてるから」
「…へ！？！？」
え！？どういうこと！？
セフンさんが、ここ以外で働いてる…！？
「ミンソギヒョンのお店でも夜働いてるし、ジュンミョニヒョンのお手伝いして小遣いももらってるし。バレてなかったでしょ？」
「な、な、なんで隠してたんですか！？」
「だって…なんかかっこ悪いじゃん」
口を尖らせるセフンさん。いや…かっこ悪いって…
「そんなことないですよ！どこからお金出てきてるのか分からなくて怖かったんですからね！？」
「あはは、ごめんごめん〜」
「もしかして、お昼よく寝てたのって…」
「まぁまぁ、そこまでにしてよ」
やっと、辻褄が合いましたよ…。
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作者名：LUKE | 作成日時：2022年12月15日 3時
