夢の中で逢える人【wtnb】

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「Aなんか明るくなった？」
「え？別に前と変わらないと思うけど…」
「んーなんか、憑き物が取れたみたいな感じ？」
「あーそれなら心当たりあるかも」


久しぶりに高校時代からの友人からご飯の誘いがあり昔話や近況報告に花を咲かせていたときだった。心当たりとは言わずもがな渡辺さんに悩みを打ち明けたこと。話すか迷ったけど、教えてオーラを全開にして見つめる友人に負けて、いくつか掻い摘んで話した。


「そういうことね」
「まぁざっくりいくとそうだね」
「ていうか夢で2回も同じ人が短期間で出てくるってやばくない？運命じゃん！ねぇ本当に相手のこと覚えてないの？」
「うーん…なんか思い出そうとしても顔に靄がかかったみたいに見えないんだよね」
「うわー夢あるあるじゃん！」


夢の相手が推しだったことは伏せて伝えたら案の定運命とか言い始める友人。なんかもう、うん、夢に2回出てきたことも伏せたほうが良かったかもしれない…。


「あ、てことはその夢はいい夢だったってことだよね？」
「え？あぁ、まぁ…」
「いい夢って人に言ったら正夢にはならないだよ！逆に悪い夢を見たらすぐに人に言って正夢にさせなくするって聞いたことがある」
「まぁ言っちゃったものはしょうがないよ」
「それはそうだけどさ〜…Aにもやっと春が来たと思ったのに〜…」
「それとこれは話が違くない？」
「いやある！Aにも彼氏を作ってもらってAから「私の彼氏の◯◯です」って紹介されたい〜！！！」
「なんか私の保護者みたいなこと言ってるんだけど」
「もう実質保護者みたいなもんよ」
「わけがわからない」


恋愛のことになると暴走しがちになる友人だが、高校の時から私のお世話をよくしてくれたこともあって実質保護者ということに関しては少し納得してしまった自分もいる。

とは言え私と渡辺さんはそういう括りではないし、むしろ有名人と視聴者という絶対に交わらない関係性なので友人の望むようなことにはならないと確信がある。今の状況だって特殊すぎるものだし、あの渡辺さんが現実世界の渡辺さんかも分からない。

だから友人には申し訳ないけど私に彼氏ができるのはまだ当分先になることだけは断言できる。悲しいけど。

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