夢の中で逢える人【wtnb】

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渡辺さんに言われて子どもたちの顔を思い浮かべてみる。浮かんでくるのは笑顔で私のことを「江面先生！」「せんせ！」と慕ってくれる子どもたちの顔。


「その表情を見ると大丈夫そうだね」
「ありがとうございます。毎日上手くいかないことばかりで大切なことを忘れていました」
「俺は何もしてないよ。ただ話を聞いただけだし」
「いいえ！渡辺さんに話を聞いてもらって心が軽くなりました。まだまだ上手くいかないことも多くてくじけるかもしれないけど、私なりに踏ん張ってみます！」
「もう既に頑張ってる人に頑張れって言うのはあれだから、頑張りすぎないように頑張れ！」
「はい！ありがとうございます！」


推しに頑張れって言ってもらえて頑張れない人いる？ただ夢で話を聞いてもらっただけ。でも、聞いてもらって心が軽くなった。それだけで何でもできそうな気がしてきた。


「そろそろ夢から覚めそうな感覚があるのでお別れですね」
「流石にこれで最後だと思うからさようならだね」
「ですね。あ、今度ちゃんとQuizKnockの動画見ますね！微々たるものですが再生回数に貢献します！」
「ありがとう！俺も頑張るね！」




その言葉を最後にふと意識が浮上するのが分かった。二度も押しの夢を見てしまった上に悩みを聞いてもらって、頑張りすぎないように頑張れ、なんてエールをもらってしまった以上、頑張るしかないよね。


「よし、今日からまた切り替えて頑張ろう」



自分に喝を入れてふと気づいたことが一つ。



…あれ、私夢の中とはいえ推しに抱きしめられた…？

え…？



ちらりと見えた鏡に茹でダコのように真っ赤になった顔が写ってたことは見なかったことにしよう。

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