夢の中で逢える人【wtnb】

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「少しは落ち着いた？」
「はい……とんだ痴態を晒してしまって申し訳ないです…穴があったら入りたいです…」
「そんなことないって。でも涙止まってよかった」
「うっ…私なんかの涙で渡辺さんの服を濡らしてしまって申し訳な「はいはいストップ！もう謝るのおしまい！」…でも…」
「こういうとき、俺は謝罪じゃなくて、別の言葉が欲しいんだけどな〜？」
「…あ、ありがとう、ございます…」
「どういたしまして！」


あれから私が泣き止むまでずっと抱きしめて背中を擦ってくれた渡辺さん。ほぼ初対面の女に優しいにも程があるよ…。


「…聞かないんですか？」
「何が？」
「私が泣いた理由…」
「無理に話してほしいとは言わないよ。泣くほどつらいってことは思い出すのも嫌なことだと思うし。ただ、話すだけでも楽になることもあるし、ここには俺しかいないから江面さんが大丈夫ならいつでも話を聞くよ」
「あの、説明するのが下手なので聞きにくいと思うかもしれませんが、聞いてもらえますか…？」
「うん。もちろん」
「実は、…」


そうしてここ最近あったことを全て話した。新年度になって自分が先頭に立って仕切るようになったこと、後輩の育成、子どもたちの様子、連続する怪我、保護者への謝罪、自分の無力さ。

説明力がなくてたどたどしくなってしまったのに、一つひとつにうん、うん、と相槌をうってくれる渡辺さん。聞かれたことで幻滅されたらどうしようとか、嫌われるかもしれない、と考えなかったわけではないけど、渡辺さんが聞き上手すぎて、気づいたら全部話していた。もちろん夢だからといってプライバシーな部分は言ってないけど。


「江面さん頑張りすぎってよく言われない？」
「え？いや、そんなには…」
「俺は保育士さんじゃないし、江面さんの仕事の大変さを全て分かってあげられるわけじゃないけどさ、江面さんは頑張ってるよ」
「でも、同期はもっとしっかりしてるのに私だけ…」
「同期は同期！江面さんは江面さん、でしょ？人と比べたってどうしようもないよ。誰がなんて言おうと江面さんは頑張ってるしちゃんと先生だよ」
「渡辺さん…」
「それに子どもたちのことを思い出してみて。みんな江面さんのこと嫌ってる？」

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