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「…ホテル?」
「あ、いや、東海林さんと一緒に連れ込まれてたっていうか、あ!服は着てたんで、別に何も無かったと思うし…」
しどろもどろになりながらも、私は身を縮めながら説明した。
しかし、私が喋れば喋るほど先生の目は刺すような鋭さを帯び、怒りの色をあらわにする。
先生の握るメスは、今にもへし折れそうだった。
「と、とにかく、私のことはほっといて、解剖を進めないと…ね、先生…?」
「…クソッ!」
こんなにドスの効いたクソは、初めて聞いた。
私は一秒でも早く解剖を終わらせたい一心で、ご遺体の顔をちらりと見やる。
………っ!?
この方って…東海林さんがタイプだと言っていた……細川さん?
解剖終了後、私は逃げるように部屋を飛び出し、東海林さんに報告しに行く。
オフィスのデスクで、かりんとうを頬張っている東海林さんを呼んだ。
「東海林さん!今調査法解剖をしてたんですけど、そのご遺体…細川さんだったんです!」
「え?ちょっと待って…本当に?」
口元を押さえ、目を丸くする東海林さんに
解剖結果を一つずつ説明していく。
細川さんはお昼を食べに1人で会社を出て、道端で突然倒れて亡くなった事
各臓器のうっ血、心腔内の血液量も多く
窒息死の可能性が高い事
手首と、両耳の裏に発赤があり権田原さんも同じ発赤があったことから、イヤーカフの痕かもしれない事を伝えた。
それを聞いた東海林さんは、ぽつりと呟く。
「あのイヤーカフは…バイタルデータ」
「バイタルデータ?」
会議室で三澄先生、久部くん、中堂先生を集め、東海林さんは小さな箱を開ける。
すると、権田原さんもつけていた銀色のイヤーカフがあった。
「耳って、毛細血管が集まってるでしょ?心拍数 血圧体温をリアルタイムで計測して端末に飛ばして健康管理ができる」
三澄先生はイヤーカフを手に取り、感心していた。
「端末に残されたバイタルデータを見れば、2人が死んだ瞬間の体内変化が分かる」
「死因の手がかりになりますか?」
私が先生に尋ねると、まだ機嫌が悪いのか
「…あぁ」と眉根を寄せながら答える。
その時、所長が「皆さん!」と一つ手を叩き
会議室へ入って来る。
「何か忘れてませんか?警察に連絡…!
また遺族に勝手に会って、何か問題が起きたら大変です」
鈴木さんの件で、さらに厳しくなった所長の言うことに従うしかない。
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青龍 葵(プロフ) - 母親を殺した真犯人は誰なのか…今後の展開、中堂さんと恋人同士になった2人に甘い部分があるのか?とか思いながら更新が待ち遠しいです! (2018年3月20日 6時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
Soll(ソル)(プロフ) - 青龍 葵さん» もう最終回ですね〜終わってしまうのが辛い!小説の方もこれから急展開を迎えますので2人の行く末を見守って頂けたらと思います (2018年3月16日 21時) (レス) id: 55764b7fd6 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - いよいよ今日でドラマ最終回!結末がどうなるのか気になりますが小説の最後(完結)も気になります。完結まで、まだまだ先かと思いますが無理のない更新で頑張って下さい! (2018年3月16日 17時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
Soll(ソル)(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます。知識の浅い素人の書く文章ですので、これからもそういった点が出てくると思いますが、少しでも楽しんで頂けるよう努力していきます (2018年3月15日 7時) (レス) id: 55764b7fd6 (このIDを非表示/違反報告)
まる - いつも楽しませて頂いてます!差し出がましいことを申しますが、細菌とウイルスは別物です!気にしないで読むつもりだったのですがどうしても気になってしまいコメントしました (2018年3月15日 2時) (レス) id: 8a313f8dce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Soll(ソル) | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/home
作成日時:2018年2月18日 19時