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「こんばんは〜」
東海林さんは男性3人が座っている、テーブルに近づき、挨拶する。
東海林さんと3人の雰囲気を見るに、仲の良さそうな印象を受けた。
「この子、最近会社に入ってきた子で…」
「Aです」
軽く頭を下げて、自己紹介すると3人の内1人が
「可愛いね。今度食事でもどうかな?」と誘われ愛想笑いが引きつる。
…やっぱりこういう場は苦手だ。
「そうですね…時間があれば」とやんわり断っておいた。
そして、東海林さんのお目当の男性 細川さんが居ない事に気付くと、東海林さんはテーブルを移動しようと、私に目で訴えてきた。
しかし、権田原さんがそれを止める。
「まぁ、とりあえず乾杯でも」
私達は流されるように席に座ると、「僕たちの出会いに乾杯」とグラスを鳴らした。
そこまではしっかりと覚えている。
問題は帰りだ。
タイミングを見計らって、会場を抜け出そうとするも、男性3人に止められ、結局東海林さんと一緒に帰ることになってしまった。
そして私達はお酒に弱い訳でもないのに、
帰る頃にはおぼつかない足取りだった。
…妙に眠気が襲う。
「そしたら…朝目が覚めるとホテルだったと」
今までの経緯を三澄先生に説明し終わった。
「十中八九、睡眠薬かなにか。とりあえず血液検査しとこうか」
私と東海林さんは深いため息をつきながら
腕を出す。
「きっとトイレに立った時に入れられたんですね」
「多分そうね。そして運良く心筋梗塞か何かを起こしたって訳?」
三澄先生が東海林さんの腕から、血液を採取しながら首を横に振る。
「いや、恐らく窒息死。微かにチアノーゼが見える」
「窒息?」
疑問に思っているのもつかの間、警察の毛利さんが現場に到着した。
「何やってるんですか、検査技師2人して」と、毛利さんは呆れ顔で言う。
一時間後、ようやくラボに戻れた私は、調査法解剖の仕事があり、解剖衣に着替え解剖室に入る。
もう既に解剖台には、ご遺体が横たわっていた。
「…遅い」
先生はマスクをしているにも関わらず、不機嫌なのが、その射る目を見れば分かった。
「すいません。朝から色々ありまして」
「昨日東海林と行ったやつか?」
「はいまぁ。朝起きたら権田原って方とホテルに……」
…あ、口が滑った。
ご遺体の上を走るメスが動きを止めた瞬間、そう思った。
解剖台を挟んで、目の前の先生を見上げると、目を細めて私を見下ろしていた。
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青龍 葵(プロフ) - 母親を殺した真犯人は誰なのか…今後の展開、中堂さんと恋人同士になった2人に甘い部分があるのか?とか思いながら更新が待ち遠しいです! (2018年3月20日 6時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
Soll(ソル)(プロフ) - 青龍 葵さん» もう最終回ですね〜終わってしまうのが辛い!小説の方もこれから急展開を迎えますので2人の行く末を見守って頂けたらと思います (2018年3月16日 21時) (レス) id: 55764b7fd6 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - いよいよ今日でドラマ最終回!結末がどうなるのか気になりますが小説の最後(完結)も気になります。完結まで、まだまだ先かと思いますが無理のない更新で頑張って下さい! (2018年3月16日 17時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
Soll(ソル)(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます。知識の浅い素人の書く文章ですので、これからもそういった点が出てくると思いますが、少しでも楽しんで頂けるよう努力していきます (2018年3月15日 7時) (レス) id: 55764b7fd6 (このIDを非表示/違反報告)
まる - いつも楽しませて頂いてます!差し出がましいことを申しますが、細菌とウイルスは別物です!気にしないで読むつもりだったのですがどうしても気になってしまいコメントしました (2018年3月15日 2時) (レス) id: 8a313f8dce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Soll(ソル) | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/home
作成日時:2018年2月18日 19時