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先生は舌打ちしながら、リュックの中の携帯を取り出す。
私は先生から解放され、胸に手を当てて
脈打つうるさい心臓を落ち着かせていた。
「三澄、お前……」
電話の向こうは、三澄先生らしい。
オフィスから逃げた東海林さんと、うまく合流できたのだろうか?
『え、中堂さん何怒ってるんですか?』
先生の不機嫌さが、その掠れた声だけでも
伝わったのか、状況を知らない三澄先生のきょとんとした声が携帯から漏れる。
しばらく会話を交わした後、先生は静かに電話を切った。
「2人は端末の開発会社に行って、権田原と細川のバイタルデータを入手したらしい」
先生は携帯に三澄先生から送ってもらったデータを、私に見せる。
「いや、今の状況で集中できる頭も無いんですけど…」
何事も無かったかのように振る舞う先生に、
ぽつりと呟くと、「…いいから早く見ろ」と何故か急かされる。
仕方なく携帯画面に近づくと、ある事に気がついた。
「呼吸停止の3分前くらいから心拍数が上がってますね。
それに伴って呼吸数が低下、血圧は上昇してます。2人は窒息死でしたよね?窒息させるだけの刺激がどこから与えられたのか…」
権田原さんと細川さんのデータは、どちらも同じく3分前から体に異常反応が起こっている。
とても偶然とは思えない。
だとすると、外部から何者かが2人を狙ったのか…。
顎に手を当て、考えていると先生が口を開く。
「2人に共通するものは?」
「共通……あ、手首と耳の裏の発赤…2人は同じイヤーカフとこの端末をつけてました」
「あぁ。でも調べようがない…」
調査に行き詰りそうな雰囲気の中、誰かが
所長室のドアをノックした。
「中堂先生!細川の端末入手しました」
ドアが開くと、そこには袋に入った端末を持った毛利さんと向島さんが現れた。
どうやら捜査二課にバレずに、持って来てくれたらしい。
私と先生は、まだビル内にいるかもしれない二課の人達を警戒しながら、解剖室へと向かう。
先生は解剖台に、細川さんの端末と東海林さんの端末を置くと、それをまじまじと見つめ
「これぶっ壊していいか?」と、端末を持つ手に力を入れていた。
その様子を見た毛利さんはすかさず止めに入る。
「駄目ですよ、細川の遺族から借りたんですから」
先生は少しつまらないとでも言いたげに
顔をしかめる。
すると、私の目の端にレントゲンの存在が飛び込んだ。
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青龍 葵(プロフ) - 母親を殺した真犯人は誰なのか…今後の展開、中堂さんと恋人同士になった2人に甘い部分があるのか?とか思いながら更新が待ち遠しいです! (2018年3月20日 6時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
Soll(ソル)(プロフ) - 青龍 葵さん» もう最終回ですね〜終わってしまうのが辛い!小説の方もこれから急展開を迎えますので2人の行く末を見守って頂けたらと思います (2018年3月16日 21時) (レス) id: 55764b7fd6 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - いよいよ今日でドラマ最終回!結末がどうなるのか気になりますが小説の最後(完結)も気になります。完結まで、まだまだ先かと思いますが無理のない更新で頑張って下さい! (2018年3月16日 17時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
Soll(ソル)(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます。知識の浅い素人の書く文章ですので、これからもそういった点が出てくると思いますが、少しでも楽しんで頂けるよう努力していきます (2018年3月15日 7時) (レス) id: 55764b7fd6 (このIDを非表示/違反報告)
まる - いつも楽しませて頂いてます!差し出がましいことを申しますが、細菌とウイルスは別物です!気にしないで読むつもりだったのですがどうしても気になってしまいコメントしました (2018年3月15日 2時) (レス) id: 8a313f8dce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Soll(ソル) | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/home
作成日時:2018年2月18日 19時