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*
『………き……やで。………すき。』
聞く気はなかった、
なんなら寝ていたはずだった。
たまたま浮上した意識の中、聞こえてきたのは
大倉の呟きで。
間違いがなければ「好き」という二文字
しかも呟いたそれはきっと俺に向けられたもの
動揺を隠すように寝返りを打つフリをして反対側を向いた
その時に無意識に伸ばしてた腕にも意識がいって
あぁ、きっとこの手は俺が伸ばしてしまったんだろうと少し反省する。身体が弱ると人肌を求めてしまうのはもう人間の意識の奥底に染み付いてるものではないか。
そっと服から離して自分の方へと戻すと
空いた大倉の手は俺の髪を優しく梳いた
いつからだ、とか
なんで俺なんだ、なんてものはきっと愚問
同じ空間でいつも一緒にいて
なんなら世界すらも広くした
大倉の人生そのものを変えた存在が
当たり前のように側にいる。
そんな状況ならば
こんな気持ちの勘違いや浮いたひとつふたつ
あっても仕方ない…
……なんてものはきっと自分への言い訳だ
大倉が好きかと問われれば、それは答えられない。
ただ、嫌いではないし一緒にいる空気や波長なんかはどちらかと言えば心地良いもの。
大倉が部屋を出て行ったのが分かると
浮上してしまった意識の中、寝ていたフリをした瞼を開ける。
傍らに置いてあった携帯を手にすると
ヨコからの連絡をひと通り見通して携帯を閉じる。
…明日には出勤できるかな、
そう願いながらもう一度睡眠へと意識を送り込んだ。
*
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ちょこ。(プロフ) - るるさん» 初めまして!コメントありがとうございます。まだまだ言葉を選びながらですが、どうぞこれからも楽しんでってください!! (2019年6月30日 21時) (レス) id: 452476bfbf (このIDを非表示/違反報告)
るる - すごく大人っぽい文章でとても好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年6月30日 20時) (レス) id: 35b23f8d3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ。 | 作成日時:2019年6月21日 3時