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「１２」 ページ12
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お世話になった信ちゃんのバーのアルバイトも辞めて
新しい日常のスタートを切った。
忙しい準備の中でも変わらず連絡を取り続けた章大に久々に会いたくなって、このレストランへの地図を送る。
店を持つことになったときから決めていた
やっぱ最初のお客さんは章大やろ。
勝手な緊張と裏腹に早く会いたいという思いで待ち侘びる。
カランー
ドアのベルが音を鳴らせば恐る恐る顔を覗かせてくる
微笑んで「いらっしゃい」と告げれば想像通りの驚いた顔にこちらも満足だ。
「忠義、お店持ってたん？」
「せやねん。」
まだオープンしてないねんけどな、まだ誰も迎え入れてないんやけどな
そんな言葉は飲み込んでカウンターへと案内する。
『相手を落とすならまずは胃袋から』
なんてベタにも程があるけど章大には一番にみてもらいたかったから。
準備を終え、料理を並べれば目を輝かせてくれる
「どれも俺の好物や！」
そら前もってリサーチ済みやからな。
ふふっと笑ってお皿を丁寧に両手で包む章大に目を奪われれば更に近くにいきたくなった。
「…ちょっと店、閉めてくる。」
「ええ、それ大丈夫なん？」
「ええの。俺が章大の隣に行きたいだけやから。」
そもそもオープンしてないココに閉めるなんてものはないけれど、章大が来る前に一応《 open 》 に変えておいた看板を 《 close 》 へと直す事、あとは側にいく理由に少しでもカッコつけさせてや。
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作者名：ちょこ。 | 作成日時：2018年6月10日 16時
