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「あ、授業終わった？いつもより遅いね」

『どちら様ですか？』

「釣れないこと言わないでよ。」

せっかく待ってたのに、なんて口を尖らせながら私の後を着いてくるジミン先輩。
もはや食堂で私とジミン先輩が歩いている様子は当たり前になりつつある。
周りの人達も「あの二人が来た」なんてセットで認知している位だから。

「僕、今日はカルボナーラの気分」

鼻歌を歌いながら食券を買う先輩。
私もカルボナーラを食べたかったのに…。
先輩の真似をしたみたいになるのは癪だから選び直そうと仕方なくメニューを眺めた。

「あれ？決めてないの？」

先輩がいつも決めてるのに珍しいね、という顔でこちらを見つめている。
生憎、決めてましたけど誰かさんのせいで気分じゃなくなりました。…なんて、流石に言えもしないけれど。

『私選ぶので、先輩先にどうぞ。』

「そう？待っとくけど」

『気が散るので。』

きっぱりと言い切ると先輩は諦めて食券を渡しにカウンターへと歩いて行った。
数分悩んだ末、メニューを決めて私もカウンターに向かう。
先輩の姿はもうカウンターには見当たらなくて、先に席に座ったんだと思った。
探す義理なんて無いのに探しちゃって、なんだか悔しい。

「あ、定食にしたの？」

そうかと思えば音もなく背後から現れる。
魚だ、美味しいよね、なんて言いながら私のトレーを奪い取って席へと向かって行く。

『…ありがとう、ございます。』

「何が？」

『トレーと…席。』

ジミン先輩はいつも窓際の席に私を連れて行く。
外の景色が見えて、日が差すこの場所が私のお気に入りだといつからか知っているのだ。