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テヒョン先輩の動きがピタリと止まった。
何かいけないことだったかと様子を伺うけれど、興味深そうにこちらを見ているだけで何も変わった様子はない。

「へぇ、ジミナみたいだって思ったの？」

『…おかしいですか？』

「いや、おかしくないよ。」

そっかそっか、って1人で納得するテヒョン先輩と話に着いて行けない私。
ジミン先輩も三毛猫が好きで…とか、それとも別の理由があるのか…色々な考えを巡らせていると徐に(おもむろに)先輩が口を開いた。

「最近どうなの？」

『何がですか？』

「ジミナと。話してるの見ないから」

『ああ…』

いつの間にかお昼にジミン先輩が教室の外で待っていることは無くなっていた。
思えば約束をしていた訳でもないのだから、今の状況が本来の日常だと言える。

『最近はサラ先輩と一緒に居るのをよく見かけます。』

「ふーん。誰？」

『可愛い人ですよ』

誰？と聞いた割には特別興味がなさそうなテヒョン先輩。
そうと分かっていながらも私はサラ先輩の良い所を上げ続けた。
何の為にかと言われれば説明は付かないけど、こうすることで心が落ち着く気がしたから。

「ストップ。A、そんな必死に誰に言い訳してるの？ ㅋㅋㅋ 」

可愛いね、そう言いながらおかしそうに笑うテヒョン先輩。
可愛い。
そう言われたことに喜ぶべきはずなのに私の頭は今それどころでは無いようで。

言い訳？私が？一体何の為に？
サラ先輩は可愛いから、仕事も出来るから、同じグループだから…
だから、ジミン先輩と一緒に居ても仕方が無い。
テヒョン先輩には私がそう言っているように見えたということだろうか？

『何言ってるんですか先輩ㅋㅋ』

誤魔化すように笑ってみたものの、上手く笑顔が作れない。
落ち着け、私。
そんなこと絶対にありえないから。

「あはは、気付いてないの？」

焦っている私をそっちのけでまだ笑っているテヒョン先輩。
やめてください。
気付かなくていいんです。
そんな虚しい心の声も先輩には届かない。

「ジミナのこと好きなんだね。」

そんなことないですよ、そう言い返せない自分に心底イライラした。