3万分の1 (ページ14)

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『でも、ジミン先輩だってこの間サラ先輩と歩いてませんでした？』

「ああ、あれはグループワークの買い出し。」

『…そうですか。』

「何、気にしてくれたの？」

『いえ全く。』

「2人ともイチャついてないで早く食べようよ。」

あれからテヒョン先輩はジミン先輩と私にお昼を奢り、どうにか事は収まった。
ジミン先輩達は幼馴染らしく、ご飯を食べ終わる頃には会話の節々から先輩達の仲が良いことも伺えた(うかがえた)。

「あ、忘れてた。」

先輩達のことを思い返しながら明日の準備をしていると、鞄から1冊の本が顔を覗かせた。
テヒョン先輩から借りた本だ。
表紙には"ねこねこずかん"と平仮名で記名されていて、可愛い猫の写真がこれでもかと印刷されていた。

「ふふ、可愛い。」

テヒョン先輩は生き物が大好きなようで、私が猫が好きだと伝えるといい本があるよってこれを勧めてくれたのだ。
パラパラとページを捲るとあるページで自然と動きが止まった。
そこには何度も開いたのかくっきりと付いた折り目と、大きい付箋が貼ってあった。

"三毛猫のオスは3万分の1の確率で産まれる"

淡い緑の付箋にはテヒョン先輩の字でそう書いてある。
その下のこれまた大きめの付箋には、「ぼくはきみのためにうまれてきた！」そう書かれていた。
テヒョン先輩とは筆跡が少し違うみたいだけど、一体誰の書き込みだろうか。

「ふ、私の為か。」

誰かとよく似たことを書く人も居たものだ。
その夜は少しだけ夜更かしして、ねこ達について詳しくなった。