宝物 ページ29
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「好き…」
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不意に口にした言葉に少し驚いて、でも…
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「俺も…」
ってちゃんと笑って返してくれる…
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「全部好き…」
「俺も…全部好きだよ」
「いっぱい好き…」
「フフ…どした…？」
「雅紀が…好き…」
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眠りに落ちていく…
その一歩手前…
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「A…？お休みのチュウ…しよ？」
「ん…」
「カワイイ…A…」
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目を閉じたまま顔を向けると、私の顎を少し持ち上げて
軽く触れるだけのキス…
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「もっと…」
「ウフフ…止まんなくなっちゃう…」
「…もっと…して？」
「もっと？
…これねぇ、結構キツいよ？キスだけっつうのも…」
「そっか…ゴメン…
でも自分でおやすみのチュウって…」
「フフフ！そうだった…じゃあ…」
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今度はさっきより少し長めのキス…
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「あー…俺さぁ、時間さえあったら、超スゴい事になるよ？(笑)」
「もー…」
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恥ずかしくなって俯くと
また顎を持ち上げて…
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「時間、延長できるように…リーダーに頼んでもらおうかな…」
って笑って
そしてまた…
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キスしてくれる…
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「眠れる？」
「うん…雅紀は？」
「俺？眠れない(笑)」
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雅紀に抱きしめられながら
安らぎと、穏やかな眠りの中で
私は夢を見た…
あの日、段ボールの中で凍えそうな私を
あなたの温かい手が救ってくれた…
あの時あなたが見付けてくれなければ
今頃私はどうなってただろう…
人間の愛に触れないまま
きっと全く別の人生を歩んでいたかもしれない…
トラウマを抱えて…
誰かを恨んで
生きる喜びさえ知らずにいたかもしれない…
そんな私をこんなにも幸せにしてくれたあなた
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出会ったあの日
『お前今日から俺んちの子ね！』
って抱き締めてくれた…
あの時のあの笑顔はずっと忘れない
私の宝物…
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ラッキーアイテム
革ベルト
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作者名：咲和
作成日時：2012年8月5日 22時
