刀剣、いざ参る 【刀剣乱舞】【ミュージカル】

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「えっと、菊一文字の事ですか？沖田総司が実際に買えた、もしくはもらえたとは考えにくいです。あの説はフィクションの可能性が極めて高いです。」

「え、そうなの⁉そんなに高価なものだったのか、その刀は」

「当時の菊というのは後鳥羽上皇の家紋のことで福岡一文字派の開祖が打った刀を一文字と言います。なので家紋が入ったものを総称として菊一文字と言います。江戸時代は大名ですら手が届かないような価値でした。」

それに、彼に観賞用なんて似合わないんじゃないですか？と付け加えれば確かに、そんな柄な人じゃないと思うと笑ってメモをとっていた。

「他に間違っていそうな資料とかある？」

「ぶっちゃけ和泉守兼定以外は実在したか不明ですね、近藤勇の愛刀は元々無銘だったので調べてもあまり資料が出てこなかったです」

授業を止めて完全にオタクの話をしていると誰かが咳き込み、我にかえって軌道を修正して授業が終わる直前に教授の問題発言が投下される。

「そうだ、さっきの刀は試験範囲だからね各自調べておくように。Aも質問に答えないように。」

視線はこちらに移ったが一瞬で期待の眼差しから絶望に変わる。もちろんそのテスト期間は稽古ですっぽりいない事が予想されるから勉強なんかしていられるかは分からない。

「私と勉強するよね？Aちゃん??」

圧力をかけてくる美玲ちゃんと後ろの女子達を嫌だと断る事はできなくて、舞台の出演が決まったことを言えば諦めて散っていった。美玲ちゃんは刀剣乱舞が受かったことを悟ったようにため息を深くついて『応援してるね、Aちゃんが一番ピッタリだったと思うよ、あの中だと』と、元気なさげに目を逸らして言ってくれた。彼女なりの励まし方なのだ、と思いお礼を言う。

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