その17! ページ17
いつの間にか俯いていた顔を持ち上げると、呆れたような顔をしてチーノ君を見るロボロくんが居た
あぁ、またこの声に助けられた
他の人よりちょっと大きいロボロくんの声は、聞き取りやすくて、何とも言えない温かさがあって、それでいて落ち着く
私の、大好きな声
『えへへ!またロボロくんに助けられちゃった!!』
笑いながらそう言うと、チーノ君が焦ったように
「え、俺先輩の事困らせちゃいました!?」
と尋ねてくる
なんて答えようかと考えていると、教室のドアがガラガラと勢い良く開いた
「チーノ!お前A困らせんなや!!」
そう言いながら開けたばかりのドアから室内へと足を踏み入れたのは、別の方向へと逃げたはずのシャオくんだった
『シャオくん!?逃げたんじゃ無かったの!?』
私がシャオくんに声をかけると、シャオくんは「逃げようとしたんやけど、捕まってもうたわ」と笑う
そんなシャオくんの背後から緑色のパーカーを着た男の子が現れる
目元までしっかりとフードを被った彼は「邪魔やねん、シャオロン」と言うとシャオくんの背中に蹴りを入れた
「痛いねん!蹴んなやゾム!」
チラリと緑パーカーの彼を見てそう吠えるシャオくんに、彼の名前はゾムさんというのか…と呑気に考える
一通り文句を言って満足したのか、シャオくんは真っ直ぐとした足取りで私の元へと来ると優しい手付きで私の手をとった
握りしめられたままだった拳がシャオくんの手によりゆっくりと開かれていく
「チーノ、スポーツマンにとって2位なんて結果、手放しで喜べるわけないやろ??やっぱ、目指すは1位じゃなきゃな!!」
な、A?と笑いかけながら爪痕が着いた掌を優しく撫でるシャオくん
チーノ君は慌てたように、ごめんなさい!と頭を下げてくる
『あ、全然!こっちこそなんかごめんね?』
「A先輩優しい……!あっ、名前で呼んでもいいっすか!?」
なんて返してくるチーノ君はとても切り替えの早い子だと思う
みんなで笑いながら数言交わしていると、開けっ放しだったドアからよく知った声が聞こえてきた
「すまんすまん、隣のクラスのミカちゃんとイチャイチャしとったら遅れたわ」
そう言いながら教室に入ってきたのは鬱先輩だった
鬱先輩の姿を確認するとトントン先輩が口を開く
「これで、揃ったな?ほんなら、そろそろ勉強始めんで」
重たい腰を持ち上げ、全員が机を合わせ始める
どうやらこれからが勉強会本番のようだ
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泉月。(プロフ) - ときあめさん» ときあめさん コメントありがとうございます!物語を書く際にshaちゃんを如何にかっこよく書けるかを追求している部分もあるのでそう言っていただけて本当に嬉しいです(;;) (2020年11月19日 17時) (レス) id: 27a03f1fe8 (このIDを非表示/違反報告)
泉月。(プロフ) - あゆたさん» あゆたさん!いつも読んでいただき誠にありがとうございます!!! これからも楽しんで頂けるような作品を書いて行けるよう頑張りますのね応援していただけると嬉しいです!! (2020年11月19日 17時) (レス) id: 27a03f1fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ときあめ(プロフ) - 今週分のrbくんも最高にすてきでした(T . T)毎週たのしみにしてます〜〜!rbくんの不器用な感じも、shaちゃんのスパダリ感も最高です。続きの方楽しみにしてます…!素敵な作品ありがとうございます。 (2020年11月19日 4時) (レス) id: 5d5f606a06 (このIDを非表示/違反報告)
あゆた(プロフ) - 初めまして。夜遅くにすみません。とても素敵な小説で更新を密かに楽しみにしているものです…。このご時世、体調に存分に気をつけて無理のないように更新、お待ちしております。 (2020年11月19日 4時) (レス) id: 0b438b4c7d (このIDを非表示/違反報告)
有咲/arisa(プロフ) - 泉月。さん» グッ…まだ現世にいるとするか…(←何だこいつ)最後まで見守ります!!! (2020年10月20日 17時) (レス) id: 1ecb7d6cb5 (このIDを非表示/違反報告)
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