男装審神者のブラック本丸日常劇貳【刀剣乱舞】 (ページ5)

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やらかしたーページ5

『……』

重い。瞼も体も。

見えるのは天井。それもあの本丸の。

三日月様と約束した後の記憶が酷く曖昧だ。まぁ大体わかる。あの後すぐ呪いでぶっ倒れたのだろう。倒れる寸前、山姥切が来たような気がする。ボロボロになっていた気もする。

『──』

心臓が止まるかと思った。隣の布団に

青江「…」

青江が寝ているからだ。刀剣男士の気配はこんなにも気付かないものかと疑問に思うがそれはすぐに解決する。

『……』

反対側を見れば三日月と山姥切、五虎退。

これだけいても気づかなかったのは己が呪いやら疲れで鈍っているからだ。うん。

余計に体がだるくなった。追加で頭痛。

そっと体を起こそうとした時。

『！』

左腕を思い切り引っ張られる。布団の中へそのまま引きずり込まれる。

「どこに行くんだい？」
『おはようございます青江様』

やはり起きるか。それもあんたが。

僅かな光中で青江の顔が怪しく見える。

青江「おはよう。体はもう大丈夫かい？」
『えぇ。お陰様でゆっくり寝れました』

私がこの本丸で。弱ってる状態で。何の被害もなく寝れたのは男士たちが傍で寝てくれていたのが大きい。

青江「そう。で、これは隠した方がいいんじゃないの？」

囁くような低い声で言われた。それだけで頭から血の気が引くのがわかる。ひやりと顔伝った汗も。恐る恐る己を体を見た。

ある。胸の膨らみが。男ではない膨らみが。手も体つきも全てが。女である。私の本来の姿が。

『ぁ』

思わず盛れた声で咄嗟に己の足元にあるあの機械を起動させた。

まずい。見られた完璧に。見せる訳にはいかない。私が審神者として。仕事を成すために。バレてはいけない。どうする？

青江「落ち着きなよ。大丈夫。僕は何もしない」

いつものとは逆で。私より落ち着いてる彼が私を見つめている。口調も優しく、なだめるように。静かに。

青江「大丈夫。大丈夫だ。息をしてご覧。ゆっくりでいいよ」

布団の中で片腕を上げて息をしやすいようにして。

『はぁ…はぁ』

息を無意識に止めていたらしい。しばらくすると落ち着いてきた。だが私の心境は変わってない。バレたのは変わらない。

『……』
青江「僕は何もしない。気分が良くなったら起きておいで」

彼らしくない笑みを。優しい笑みを浮かべ、いなくなる。

『…』

何も言えない。というよりも震えが止まらないせいで喋れない。

あの記憶がフラッシュバックする。

『…助けて』

か細い声は布団の中に消えた。