第五十七話 放送委員会的なのあったよね ページ10
山姥切「…」
こんのすけと共に縁側を歩いて向かうのは会議をする大広間。
こんのすけ「それでは男士様たちを集めましょう」
山姥切「…」
こんのすけ「山姥切様…?」
山姥切「…あ、あぁ。すぐに集めるぞ」
こんのすけ「ご心配なのですか?主様なら三日月様がいるので大丈夫なはずです」
山姥切「そうだな…」
大広間について山姥切は大広間の縁側から一度外へ。その近くに一つの塔がある。古びた戸を開けると埃の匂いが出迎える。
こんのすけ「掃除はしたものの…埃臭いですね…後でお香でも焚きますか」
山姥切はその中にある梯子階段を登っていく。登った先にはこじんまりとした個室。そこに机とマイク、機械。申し訳程度の資料と筆。
これは本丸全域に設置されたラジオから放送を流せる場所。つまりスタジオというわけだ。かなり前からあったが使う必要性がないためずっと放棄されていたが今回。
『私動けないし。出陣があったら呼ぶの面倒だし。大広間の近くにある塔。あれ確かラジオ放送みたいにできたはずだから使おう』
っとのこと。
『興味本位じゃないよー。塔だって使ってあげないと可哀そうでしょ』
これが本音か建前かは山姥切も知らない。
こんのすけの指示に従い山姥切はぎこちなくそのマイクに発した。
山姥切「…あー……これで、いいのか…?」
こんのすけ「はい。大丈夫です。外からちゃんと聞こえてますよ」
山姥切「…山姥切国広だ。出陣の命が出た。これから名を読み上げる。隊長――――」
全ての男士の名を読み上げ
山姥切「以上だ。準備を整え、大広間に来るように」
マイクをきる山姥切。その掌は少し汗で光っている。
『へぇ、これいいじゃん。使って正解だね』
三日月「あぁ。毎日誰か使うのも面白そうだな」
『なら本丸内だけのラジオ放送でもするかな?』
鶯丸「それはいいな。大包平が放送をしたらきっと面白ぞ」
三人で談笑している中。
山姥切「全員集まったな」
長義「全く。偽物君に命を言われるのは気にくわない」
光忠「まあまあ。あ、ラジオとても良かったよ」
小豆「あぁ」
謙信「さすがこのほんまるのきんじなんだぞ」
大般若「主はまた面白い事を始めたんだね」
小竜「でだ。出陣内容は?」
山姥切「あぁ。場所は越前。織豊。安土桃山時代だ」
謙信と小豆が顔を見合わせる。
小豆「謙信公とともにあったからな。まかせてくれ」
謙信「きっとおやくにたてる!」
山姥切「頼むぞ」
そしてあの踏切を六振りが渡るのを山姥切は見届けた。
第六十七話 怖い話は好きだがお化け屋敷に入れるとは言ってない→←第五十六話 言葉には言霊って言うじゃん…?あれ?
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作者名:稲森 | 作成日時:2021年3月11日 22時