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第八十話 とある過去の仕事内容 ページ35

間違いない。この手紙を送り主は

『私が職員だった時に……助けた本丸の、山姥切国広だ…』

急に思い出した記憶から更に思い出す。

『そうだ……あの時。私が死にかけたあの時』

あの世から戻ってくる時私は黒い世界に引きずり込まれた。あの時翡翠色の目の彼が助けてくれた。彼はこの手紙の山姥切国広。

『……っ』

私は彼の本丸に短い期間だが審神者としていたことがある。と言っても霊力提供を行うだけで出陣等は行わない。レア度が高い刀剣男士だけを過保護に保管し他は扱いが酷い本丸だった。威嚇をしてくる男士もいたがそれよりも生きる気力が感じられない本丸だった。





『初めまして。今日から審神者の代替わり。と言っても霊力提供だけですが担当になりました、Aです。よろしくお願いします。名前は好きに呼んでください』

初期刀の陸奥守が出迎えてくれ挨拶をした。

陸奥守「これはわざわざ来てくれてすまんのう。だが無意味じゃ。ここには来ない方がいい」

笑っているがその目に光はない。ロボットのように無機質な笑顔だった。

『いえ。私はこの本丸を。刀剣男士たちを助けるために来ました』
陸奥守「……まあ上がってくれ。それと気ぃ抜かん方がいい。人間の首をねらっちゅうもんもいる」

そういって背を向けた陸奥守。とても遠く感じた。

陸奥守「ここにはどれくらいおるんじゃ?」
『期間は皆様を助けるまで。です』
陸奥守「…あんたは随分頑固なようじゃのう。何度も言っているが…無意味じゃ。この本丸はだあれも生きてはおらん」

やはり笑ったまま。あの陸奥守の笑顔だが。何も感じられない。

陸奥守「正直。迷惑なんじゃ。皆はもう消えたいと願っちゅう。わしが皆にしてやれるのはそれしかない。この通りじゃ。大人しく帰ってはくれんか」
『…陸奥守さんは。変えたいと。そう思わないのですか』

一瞬、固まった陸奥守。

陸奥守「ない。っと言いたいんだがなあ……これでも近侍。皆が大事…だが……もう」
『諦めるのはまだ早いです。私が皆さんを変えてみせます。だから陸奥守さんも手伝ってはくれませんか』
陸奥守「方法があるんか…」
『はい。これでも仕事は出来ますから』

その時。襖を開けて入って来たのが

山姥切「……誰だ」

布だけでなく全てが汚れている山姥切国広。腕や足にも包帯が見える。手入れをろくにされていないようだ。

陸奥守「あぁ、山姥切。この人はあ政府から来たんじゃ」

山姥切の顔色が変わる。

第八十一話 生きるという呪い→←第七十九話 手紙のおくりぬし



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作者名:稲森 | 作成日時:2021年3月11日 22時

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