第七十八話 わかってたはず ページ33
刀剣男士と鬼ごっこという高度な遊びは即終了。お次は
『だぁるぅまあさあああんがｺﾛﾝﾀﾞ！！！』
子供定番だるまさんがころんだである。いや現代の子やらなさそうとか言わないで。
本丸内だと限られるので庭の端の木から顔を隠してやっている。ばっと振り返れば
『うおおい！！？！』
いやもうすぐ目の前に短刀がいるやん…すぐ終わっちまうよこれ…
『ちょっとさ…今剣距離詰めるの速くね？』
今剣「そんなこ―――」
『はあい喋ったあああ動きましたああって嘘ですごめんなさいいや本当もう病み上がりのせいでちょっと冗談が言いたかっただけなんですあ、その刀しまって薬研助けてぇえええ！！！』
またも即終了。
あれぇ…男士と遊ぶのってこんなにハードだったかな……
『ごめんね…遊び相手にならなくて…』
前田「いえそんな！」
平野「気になさる必要はないのです！」
薬研「霊力も前より下がっちまってるからな。身体能力にも影響が出てるんだろう」
えじゃあもしかして……
『ちょっと誰か私と手合わせしてもらってもいいかな』
五虎退「主様体は…」
『大丈夫少しくらいなら』
同田貫「俺がやる」
『お願い』
丁度通りかかった同田貫。練度も申し分ないし何より同田貫は
『手加減なしで』
同田貫「おう。あんたのことだわかってる」
手加減が嫌いだ。
薬研「怪我だけはするなよ」
『わかってますって』
皆が不安そうに見守る中。互いに木刀を構える。そして先に動くのは
同田貫「キェエエ！！」
『っ』
やはり力はかなりある。ぶつかり合う木刀が音をたて震える。それを流し体制を変える。逸れたところから同田貫を狙うが見事に避けられる。そのまま体制を崩される。
『！』
同田貫の振るった刀が来る。わかっている。頭ではそれでも。それでも……
薬研「そこまでだ！」
同田貫「…」
『……』
体が動くことはなかった。
同暖気「大丈夫か？ほら手かせ」
『ありがとう』
手を出すと引っ張り体を上げてくれる。
『…』
薬研「…大将」
同田貫「あんたは別に戦う必要はない。俺たちが戦えてればそれでいい」
『……』
同田貫「…まああんたが強かったから俺たちはこうして強くなれた。礼を言う…だから俺たちがあんたの代わりに戦う。そんな顔するな」
『…ありがとう同田貫』
そうだ元々。私が戦える必要はない。それはわかっている。けれど私のはその事実を目の当たりにして……
乱「主さん――」
『ごめんちょっと』
その場を足早にあとにした。
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作者名：稲森 | 作成日時：2021年3月11日 22時
