第六十七話 怪異と遡行軍以外なら？ ページ12
布一枚。顔の表情が見れないだけでこんなにも怖いものなのかと。
上代「まだ政府の方でしか出てない話なのですが。最近、審神者が数人時間軸に飛ばされることがおきまして。それも誰かに呼ばれたと証言するものもいます」
『…ほう』
そういった話は元職員の私。聞いたことはあるし、実際。関わったこともあります。
『怪異、とかでなく？』
上代「えぇ、怪異ではありません。審神者を呼んでいた者が何者かは今だ分からず」
『ほうほう』
顎に手を当てて考える。
鶯丸「その言い方から。時間軸のげーと事態に異常はないのだな」
上代「はい」
『怪異でもなくゲートの故障ではない。となると遡行軍の可能性しか出ないやん』
三日月「…遡行軍、か」
その時
こんのすけ「主様。出陣した隊がもう終えたそうです」
『え、もう？早いね』
こんのすけ「繋げますか？」
『お願いします』
こんのすけがモニターを映し出す。
長義「主」
『長義、もう帰還できるの？』
長義「あぁ。なんだか今回は敵がいつもより少なかった」
光忠「うん。ちょっと不思議だったから念のため歴史に異変がないか確認してみたけど異常は見られなかったよ」
『そっか…ありがとう。誰も怪我はない？』
大般若「心配性だなあ主は」
謙信「ぜんいん。ぶじなのだぞ！」
小豆「あぁ。すぐにきかんをする」
『わかった。お疲れ様でした』
長義「では失礼するよ」
手を振ってモニターをきる。
『さて。皆を迎えに――』
三日月「…」
にっこりスマイルの三日月。私の腕を無言でつかんで離さない。
『う、嘘。です…』
三日月「よろしい」
鶯丸「なら俺が行こう」
あら珍しい。というか三日月。腕痛いんだが…
こんのすけ「私も行きます」
鶯丸「あぁ。では、大人しく…と言っても騒がしく出来ないな」
笑ながらこんのすけと共に部屋を出る。
上代「三日月様は審神者様がお好きなようですね」
三日月「はっはっは。男士がどのような形であれ主を好くものだ。例外がなければな」
例外、とはきっとブラック本丸だった彼だから言えることなのだろう。
『痛いです』
三日月「あなや」
パッと手を離す三日月。それを見て
上代「はは。審神者様は大変面白い男士様たちをお持ちなようで」
『ありがとう、ございます？』
上代「褒めていますよ。川上様から個性の強い男士が多いと伺っていましたので。その通りだと。幸せそうで、何よりです」
布越しでもわかる。彼は嘘をついていない。そして川上は後で渇を入れる。
第五十八話 彼の心→←第六十七話 怖い話は好きだがお化け屋敷に入れるとは言ってない
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作者名：稲森 | 作成日時：2021年3月11日 22時
