第二十話 特別 ページ21
加州「主どうなるの？」
小狐丸「そうですね。ぬし様のこともありますがこのままだと」
髭切「僕たち。この世界がまずいかもね」
加州「どういう、こと？」
小狐丸は改めてその白い塊を見て話す。
小狐丸「髭切が言いましたが。恐らくそのお館様とかいう者から身を守るため本能的に防衛体制になってしまったのでしょう。その証拠に…」
小狐丸は何か塊を取り出す。
長谷部「それは…」
小狐丸「妖怪の破片です」
長谷部「どうしてそんなものを持っている」
小狐丸「私もよくこういったところには昔来ていましたから。こういったものを食べるときはありましたよ」
と小狐丸はそれを塊の方へ投げる。
加州「！」
それは音を立てることもなく消えていった。
長谷部「…光の中に入った、のか？」
加州「いやこれ…光に消された…？」
小狐丸「えぇ。主は触れるもの全てを消し去っています」
加州達の顔が凍り付く。
膝丸「やはり制御できていないのか」
加州「待って。それをわかっててなんでさっき…」
小狐丸「我々を敵と認識してなかったら入れるかと思いましてね。我々の世界も。無暗にはいる者を消すわけじゃありません」
髭切「確かに。僕も入ろー」
膝丸「兄者！！！」
膝丸が髭切の腕を引っ張り止める。
髭切「何で止めるの？このままだとこの世界も消されるし主も霊力が持たずに消えちゃうかもしれないんだよ？」
膝丸「そ、そうだが…」
小狐丸「私が行きますので貴方たちは他の者と合流してください。そろそろ大俱利伽羅達が来ることでしょう」
加州「待ってよ。もし」
小狐丸「大丈夫ですよ。加州。皆も知っていましょう。我ら主。ぬし様は裏切らぬと」
そう笑った。
加州「…」
偽りのない笑顔の小狐丸を加州達は初めて見た。
長谷部「…俺も行こう。主が俺たちを裏切るわけがない。それにお前だけじゃ不安だ」
小狐丸「…相変わらずですね貴方は」
加州「俺も行く」
小狐丸「加州」
加州「この二人だと不安だし」
髭切「僕も行くよ」
膝丸「俺もだ」
小狐丸「全員で行ったら報告するものがいなくなってしまいますが…まあ」
札を一枚。投げると煙と共に小さな狐が現れる。
小狐丸「大俱利伽羅に頼みます」
狐は頷くと走り去っていく。
加州「あー…今の何？」
小狐丸「ぬし様から頂いた式神の札です」
長谷部「主から頂いた…？おいどういうことだっ！！俺は貰ってないぞ！！」
小狐丸「だからあまり使いたくなかったんじゃ…」
加州「俺も気になるんだけど？」
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作者名：稲森 | 作成日時：2020年12月21日 22時
