第四十二話 変わらない ページ43
三日月「…鍛刀部屋には入らぬ方がいいな」
山姥切「だが――」
三日月「入るな」
三日月のその表情に山姥切だけでなく加州までも身を縮める。
三日月「わかったな」
山姥切「……わかった」
加州「…なら厨に……主、大丈夫？」
『うん…ありがとう加州』
加州に先導され厨へ入る。
鶴丸「これはどうする？」
三日月「俺たちにはどうすることもできぬ。ましてやここで焼かれた刀たちの思いなど…」
鶴丸「まあそうだが…」
三日月「なんだ？助けたい、とでも言いたいのか？」
鶴丸「…ここから解放くらい、とはな」
明らかによどんだ空気を感じる鍛刀部屋を鶴丸はどこか悲しそうに見ていた。
三日月「…随分。人間らしくなったな鶴」
横で鶴丸を見る三日月。無表情ではない、だが。静かな瞳には…
鶴丸「…お前は相変わらずだな」
小さく呟いた鶴丸はその瞳を流し、厨へ入る。
三日月「……」
厨では先ほどのよどみはないものの、やはり重く冷たい空気はある。
『…しばらく使ってないみたいだね』
加州「うん。この汚れ具合はもう本当に何百年も使われてないかも」
山姥切「だがやけに他の部屋や廊下は綺麗じゃなかったか？」
『うん……恐らく、というかほとんど確定かな。この本丸はいくつもの本丸が時間軸の歪みで絡み合ってる』
加州「だから本丸の構図が変になってるのか…」
あの審神者の部屋と鍛刀部屋は違う本丸。そして厨も違う本丸。
『…どれもどこかの本丸で審神者から酷い扱いを受けてきた刀たちの恨み辛みが集まって出来た本丸ってことだね……』
ブラック本丸は政府が取り締まっているから大丈夫だと思っている審神者が多い。しかし実際はブラック本丸なんて沢山ありすぎている。審神者に自覚がない場合もある。そして何より私が働いていた時なんかブラック本丸を隠ぺいするなんて当たり前のようだった。
…私は隠ぺいするのが嫌いだった。だから世間に公表しないだけでちゃんと刀剣男士たちは助けるというのが私の絶対条件だった。政府からすればそんなものなんてなかった、という形にしてほしいと言っていたが知らん。
鶴丸「なあこの厨裏口があるぜ？」
散らかった厨の棚の横から鶴丸は戸を見つける。明らかに誰かが棚をずらして戸を開けたという痕跡が残っている。
『……貞宗が通ったかもしれない』
鶴丸「かもな、開けてみるか」
鶴丸が戸を開ける。歪んでいるのか古いのか固そうな音を響かせて戸は開いた。
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稲森(プロフ) - あららぎさん» コメントありがとうございます！ 私自身も書きながら怖かったりします笑 あららぎさんのように励ましのコメントいただけて活力になってます(n*´ω`*n) これからもよろしくお願いします！ (2020年10月2日 22時) (
レス) id: 17ab3ec999 (このIDを非表示/違反報告)
あららぎ(プロフ) - こ、こわいっ！！のに、面白いから、続きが気になって読んでしまう！！ やっぱりこのお話、最高です。(^∀^b 更新頑張ってください！！これからも応援してます！！ﾄﾞｷﾄﾞｷ (2020年10月1日 23時) (レス) id: 8a566a89b7 (このIDを非表示/違反報告)
稲森(プロフ) - 華音さん» また誤字報告ありがとうございます！ (2020年9月14日 17時) (レス) id: 17ab3ec999 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんばんわ☆最新話読ませて頂きました♪その最新話14話にてヒロインの台詞に誤字が一ヶ所御座いましたので^^;御報告を！「喧嘩は〜」の辺りからの台詞にて最後の台詞で誤「勝手」→正「勝って」ですね。それでは次のお話を楽しみにしております(*^^*) (2020年9月13日 22時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
稲森(プロフ) - 華音さん» 初めましてコメントありがとうございます！ 誤字報告ありがとうございます！助かります…！！ 楽しんでいただけて嬉しいですこれからもよろしくお願いします！ (2020年9月8日 22時) (レス) id: 17ab3ec999 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稲森 | 作成日時：2020年8月31日 22時
