56話 ページ8
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ゆっくりと歩みを進め、雪代さんの隣に並んで船の柵に手を添える
｢…いよいよですね｣
｢ああ｣
雪代さんはお姉さんが亡くなってから14年、復讐のためだけに生きてきた
復讐なんかしたって何も生まないだとか そんなクサいセリフを言うつもりは毛頭ない
そんなことは雪代さんと同じ辛い思いをした人しか言う権利はない
わたしはただ、人誅の成功と雪代さんの無事を祈るだけ
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港までの距離はもうほんの少しという所まで来ていた
客室に篭っていた乗客達も荷物を抱えてぞろぞろと下船場へ集まりだす
｢…ほんとに、お別れですね｣
｢そうだな｣
満を持して、船員さんが拡声器で日本に到着したという内容のアナウンスを流し、乗客はゆっくりと下船場から港へ降りていく
そんな様子を他人事のように見守れば、最後に見納めしておかないと と雪代さんの顔を見つめた
｢……｣
｢…前々から思っていたが、貴様のその じっ、と人の顔を見つめてくるのは癖か何かか？｣
｢……。
…ふふっ、｣
予想外の問いかけに思わず笑ってしまう
…癖。癖かぁ
雪代さん、これはそんな純粋なものじゃないんですよ
｢これは処世術です。これで落ちない男はいないんですよ？｣
｢…ふっ｣
わたしの軽口に雪代さんが目を細めて小さく笑う
そのまましばらく見つめ合えば、海風に靡くわたしの髪を耳にかけ直してくれた
｢…じゃあ、俺もその内の1人か？｣
｢…え？｣
どういう意味ですか？ なんて聞く間もなく、雪代さんの手が左頬に添えられ上を向かされる
そのまま何か行動を起こすことも出来ず、いつもより近い位置にある雪代さんの顔を困惑しながらも じっ、と見つめた
｢……｣
前髪が目元にかかって、なんだかくすぐったい
ゆっくりと目を伏せると、途端。自分の口から｢ん｣と短く声が漏れて、呼吸ができなくなった
押し付けられるような、塞がれるような。唇に柔らかい感触
…今、何が起こってるの？
驚いて目を開ける
雪代さんの顔が近い。あまりの近さに丸眼鏡がわたしの鼻筋に当たって、少しずり上がってしまっている
しばらくして唇が離されると、おでことおでこがくっつく距離でそのまま見つめ合った
困惑して纏まらない気持ちと バクバクと鳴り止まない鼓動を落ち着かせるようにゆっくりと呼吸をした
…今、キスされたの？
雪代さんに？
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はな - 完結してかも何回も何回も読み直させてもらってます！いつか短編集も読めることを楽しみにしています🥺💗 (10月1日 23時) (
レス) @page49 id: 5a141b2009 (このIDを非表示/違反報告)
武山(プロフ) - ちかさん» ありがとうございます😭‼️雪代縁よ…こうであれ…と欲のままに筆を走らせたのでそう言っていただけてとても嬉しいです😫💖短編集の方も欲望のままに書きなぐりますね🥺💗 (2023年1月27日 12時) (レス) id: ffc85090d4 (このIDを非表示/違反報告)
武山(プロフ) - 酒饅頭さん» うわ〜！嬉しいです！雪代縁を雪代縁っぽく喋らせるのめっちゃ難しいですよね…😂これほんとに雪代縁？となりながら夢主との掛け合いを書いていたのでそう言っていただけて安心しました！😭読んでくださりありがとうございます！ (2023年1月27日 12時) (レス) id: ffc85090d4 (このIDを非表示/違反報告)
武山(プロフ) - ましゅまろぉさん» ありがとうございます！わたしもハマりたての時に探して え！？メリバしかねぇ！！！(卒倒)となり自家発電しました…😂嬉しいお言葉本当にありがたいです😭💗短編も頑張ります🫡💖 (2023年1月27日 12時) (レス) id: ffc85090d4 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて最高でした〜(;_;)(;_;) 武山様が書く雪代縁が大好き過ぎて何度胸が張り裂けそうになったか…短編集まで、書いてくれるのを考えてくれてらっしゃるだけで最高ですありがとうございました。何度も見返して雪代縁を堪能します(^^)/ (2023年1月26日 0時) (レス) @page50 id: d496fe5261 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：武山 | 作成日時：2021年6月24日 21時
