[雪代縁]放っておけない2

94話 ページ46

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「じゃ、どうぞ」


「えっ！？」



ひときしり笑い終えたあと、雪代さんが指で涙を拭いながらそう言った


ねえ待って？なんか違う…なんか想像と違う…全然慌てふためいてないんだけど



「抱いてくれるんだろ？」


そう言いながら雪代さんが腕を少し広げる

完全に 来れるもんなら来いよ という挑戦的な皮肉が込められていた

馬鹿にしくさりおって〜〜っっ……！！

その余裕ぶっこいた面わたしが崩してやりますからね！







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で、どうやって？


まず何したらいいの？は、ハグ？



…いやっ、いやいや…





ここは初手にキス…！で強気で攻める…ッ！




「……っ」




ゆっくり、ゆ〜っくり雪代さんに顔を寄せる。ちゅ。と軽く触れるか触れないかのキスをし、顔を素早く離して距離をとった



キス…できてしまった


キス…しちゃった。自分から…！



あまりの達成感から当初の目的を忘れ自分の成長具合に感動していると、雪代さんが心底不思議そうな顔で「舌は入れないのか？」と言い放った



「エッッ……。しっ……？」



都市伝説か春画の世界だけの話だと思ってた…

舌……。舌を…。へぇ〜…キスで……。なるほど……え？何て？



「ああ、貴様には少し難しい話だったか」


「やっ、やれますよ！全然難しくなんかないです！」


雪代さんは待ってるんだ。わたしがみっともなく負けを認めて降参するのを。だからノリノリで乗っかってきたんだ
ほんと嫌な男！元はと言えば雪代さんがおちょくる目的以外で全然手出してこないからわたしがこんな勇気出して……



「…ん、」


ちゅ、ちゅ、とまた何回か短くキスをした。…よしよし、キスは出来るんだよキスは。で、こっからどうやって舌をいれるのかな？雪代くん、口閉じきってますけど？ただわたしが一方的に熱烈にキスしまくってるだけになってますけど？




「……」



「……」









．









…万事休す。







「雪代さぁん……」


降参です。負けでいいですよ、もう。 キスをしながら彼の首に腕を回し、助けを乞うように情けなく抱きつくと、雪代さんはずっと笑うのを我慢していたようだ。これ以上におかしいことは無いとでもいうかのようにご機嫌に笑っていた。え、めっちゃ腹立たし〜…







「本当に可愛いな、おまえ」


「は…」


頬に手が添えられる。雪代さんの口から発せられた言葉を理解する間も無く、唇が塞がれた

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