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78話 ページ30

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雪代さんと隣並び。大通りの横の一際目立たない建物の影で、お互い何を話すわけでもなく ただひたすらに ぼう…っと行き交う人々の足取りを眺めていた






図々しく隣に居座るくせに何も話さないわたしに痺れを切らしたのか、雪代さんが口を開く





「…何しに来たんだ」



「何しにって、そりゃあ…」




…ん?







ここでとある事に気づく


元々、雪代さんの人誅という名の抜刀斎殺害を止めるため、巴さんの日記帳を渡しに行くことが本来の目的だったはず


けれどわたしはお留守番させられて、結果的に抜刀斎は生きてるし 巴さんの日記帳は無事雪代さんの手元に渡ってるし



一体何をしにわたしは脇目も振らずにこんな遠いところまで…









…いや、難しく考えなくとも、もう分かりきっている



雪代さんのためだとか、ずっとたいそう偉そうな名目を掲げて行動してきたけれど、結局のところはこれに尽きるのだ






「会いたくなったから、来ました」







我ながら中々に大胆なことが言えるようになったものだ

恥ずかしくなって えへ… と不自然に笑いながら目線を下にそらすと、雪代さんが手にしていた巴さんの日記帳が視界に映った






「…雪代さん、それ、読んでもいいですか?」





日記帳を指差しながら恐る恐る訊ねると、雪代さんは何も言わずに日記帳をわたしに差し出した





これは…。読んでもいい、ということなのだろう




読みますよ?本当に読みますよ?と雪代さんに何度も確認の目線を送りながらそれを受け取ると、ゆっくりとページを捲った








━━━










"あの人は、私の幸せを奪った人"




"そして、もう一つの幸せをくれた人"




"今ここで絶対に死なせてはならない"




"私が必ず、命に変えても守る"









━━━








「……」







長い、長い時間をかけて読み終えた日記帳を閉じ、しばらく自分の中で反芻してから雪代さんの手元に返す


やはり、巴さんは抜刀斎を許していた。それどころか愛してしまっていて…


決して殺されたわけではないのだ。自ら、愛する人を守り、そして愛する人のいる空へと旅立った




手放しに美談。とは言えないが…

それでも、巴さんが1番望んだ結末がこれなのだろう




しかし、やっぱりわたしは喜べない




今まで懸念していたことが、確信に変わってしまったのだから




雪代さんは、愛する姉の願いとはまるで真逆のことをしていたのだ。この14年間、ずっと

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はな - 完結してかも何回も何回も読み直させてもらってます!いつか短編集も読めることを楽しみにしています🥺💗 (10月1日 23時) (レス) @page49 id: 5a141b2009 (このIDを非表示/違反報告)
武山(プロフ) - ちかさん» ありがとうございます😭‼️雪代縁よ…こうであれ…と欲のままに筆を走らせたのでそう言っていただけてとても嬉しいです😫💖短編集の方も欲望のままに書きなぐりますね🥺💗 (2023年1月27日 12時) (レス) id: ffc85090d4 (このIDを非表示/違反報告)
武山(プロフ) - 酒饅頭さん» うわ〜!嬉しいです!雪代縁を雪代縁っぽく喋らせるのめっちゃ難しいですよね…😂これほんとに雪代縁?となりながら夢主との掛け合いを書いていたのでそう言っていただけて安心しました!😭読んでくださりありがとうございます! (2023年1月27日 12時) (レス) id: ffc85090d4 (このIDを非表示/違反報告)
武山(プロフ) - ましゅまろぉさん» ありがとうございます!わたしもハマりたての時に探して え!?メリバしかねぇ!!!(卒倒)となり自家発電しました…😂嬉しいお言葉本当にありがたいです😭💗短編も頑張ります🫡💖 (2023年1月27日 12時) (レス) id: ffc85090d4 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて最高でした〜(;_;)(;_;) 武山様が書く雪代縁が大好き過ぎて何度胸が張り裂けそうになったか…短編集まで、書いてくれるのを考えてくれてらっしゃるだけで最高ですありがとうございました。何度も見返して雪代縁を堪能します(^^)/ (2023年1月26日 0時) (レス) @page50 id: d496fe5261 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:武山 | 作成日時:2021年6月24日 21時

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